この記事ではメンタルヘルスの不調で休職中の自分が、よく思い出す言葉をシリーズで書いていきます。6つ目として取り上げるのは「楽しいと楽は違う」です。
この言葉は、THE BLUE HEARTSのボーカル・甲本ヒロトさんが残した言葉です。
“楽しい”と“楽”は違うよ
“楽しい”と“楽”は対極だよ
楽しいことがしたいんだったら 楽はしちゃダメだと思うよ
楽しようと思ったら 楽しいことはあきらめなきゃダメだね
ただ 生活は楽な方が絶対いいと思うよ でも人生は楽しい方がいいじゃん
生活は楽に 余計なことには気をとられず 人生は楽しく
僕は、休職のときの振り返りをしているときに「楽」と「楽しい」について考えました。そして、このことを記事にしようと思って検索してみると、それが甲本ヒロトさんの言葉と知りました。
これから「楽」と「楽しい」について僕が考えたことを書いていきます。
コンフォートゾーン
「楽」と「楽しい」ということを最初に考えた切っ掛けは「コンフォートゾーン」という概念を知ったことでした。
コンフォートゾーンを超える「成長の4つの領域」 | Coaching Labo LIBERTE (coach-liberte.com) によると、コンフォートゾーンというのは、成長の4つの領域の一番内側にある、「私たちが安心できる、自分のコントロール下にある、と感じられる領域」ということです。 日本語で言えば「安心の領域」ということになります。
言い換えれば、「自分に馴染みがあって、心地よく感じられる空間や人付き合い、そして、いつもと同じやり方で出来る仕事。」ということになります。
多くの人は、変化を嫌うので、このコンフォートゾーンの中にとどまる傾向があります。
僕の場合は、面倒くさいことを回避する傾向があるので、変化することも嫌う傾向が強いです。
言い換えれば、コンフォートゾーンにとどまることが「楽」につながります。
ただ、このコンフォートゾーンの中だと、新しい刺激がなく、楽しいことがないこともあります。「心地よい環境ではあるけれども退屈だ」という感情です。
もし、退屈なことが辛くて楽しみを見つけたいならば、コンフォートゾーンから出て、その外で探さなければいけません。
しかし、成長の4つの領域は以下の通りになっています。
- コンフォートゾーン
→私たちが安心できる、自分のコントロール下にある、と感じ
られる領域 - フィアーゾーン
→慣れ親しんだものから離れて、新しい環境に行くと、居心地
が悪いと感じる領域 - ラーニングゾーン
→新しい課題やチャレンジに挑む勇気や、自信がつき、学びと
経験を感じる領域 - グロウスゾーン
→人は自由で、「なぜこれをするのか」という、自分の目的を
しっかりと意識出来る領域
ラーニングゾーンでの学びや経験、グロウスゾーンでの目的意識。これらを得ることが「楽しさ」だと思います。 そして、グロウスゾーンに到達したときに、コンフォートゾーンの広がりを意識します。
しかしながらこの過程に行くまでの間にはフィアーゾーンという居心地の悪さ、立ちはだかる困難という障壁が立ちふさがります。障壁を乗り越える苦労をしないと、「楽しさ」は得られません。
もう一つ言うと、放っておくとコンフォートゾーンは外部環境の変化によって小さくなります。 外部環境の変化は自分ではどうすることもできませんから、今のコンフォートゾーンの広さを維持するときにも、自分でコンフォートゾーンを広げることが必要です。
僕は「楽」をして潰れた
僕は昔は受験勉強や、競技クイズなどの趣味に打ち込んむことで、コンフォートゾーンを出て、いろいろな「楽しさ」を得たように思います。
一方、仕事については、昔から社会に出る恐怖だったり、責任を取ることへの不安があり、コンフォートゾーンにとどまることを常に考えていました。
コンフォートゾーンから出る努力をしたこともあるのですが、フィアーゾーンで困難に立ち向かえず、いつもコンフォートゾーンに戻っていました。
しかしながら、外部環境の変化により、コンフォートゾーンは次第に小さくなっていきます。そのためにメンタルヘルスの不調をきたすようになりました。
そのような状況になっても、僕はコンフォートゾーンを広げる努力をしませんでした。
仕事に対する苦手意識を持ち続けていました。その上、仕事の責任を背負いたくないことで、成長したくないという気持ちになりました。結果、仕事においてラーニングゾーン、グロウスゾーンに到達しても、「楽しさ」は得られないと思いました。
結果、仕事における僕のコンフォートゾーンはなくなりました。そして、メンタルヘルスで休職することになりました。この経緯については、以前の記事で、発達障害や回避性パーソナリティ障害の特性と書きましたが、コンフォートゾーンがなくなったことも影響していると思います。
僕は、仕事に「楽しみ」を見いだせず、「楽」をしすぎた結果、潰れてしまいました。
自分が楽しいと思うことの分析
それで、休職して時間ができたので、休職前にやっていた「楽しかったこと」を50個リストアップしました。そして、それを3つに分類してみました。下表はその結果です。
dobbyの「楽しい」こと分析
ちなみに、やりたくないことの基準ですが、仕事におきました。今の仕事をやらずにアルバイトなどで食いつなぎ、今の収入の80%減となった場合に断念すること、実行出来ることを考えました。
自分の場合「やりたくないことを受け入れて実行したいこと」がないのだと認識しました。むしろ、やりたいことを断念しても構わないという感じです。
言い換えれば、コンフォートゾーンがある程度小さくなっても構わない。
特にコンフォートゾーンを広げる努力、すなわち「新たな楽しいことをするための辛いことを受け入れる努力。」はしたくないです。最低限のコンフォートゾーンは維持しますが、維持する努力はできるだけ小さくしたいです。
コンフォートゾーンが小さくなれば、それを広げるのではなく、楽しいことを諦める。最悪の場合、「楽しいことがなにもない、退屈な人生」になることを受け入れるというのが僕の人生に対するスタンスなのだと思いました。
結局、「楽」と「楽しい」どちらを取るか、僕の答えは「楽」です。
まとめ
以上、長くなりましたが、「楽」と「楽しい」は違うことについて、コンフォートゾーンの概念も交えて書いていきました。
今の現状にとどまるのが「楽」で、現状を打破しないと得られないのが「楽しさ」だと思います。
そして僕は「人生楽しいほうがいいじゃん」という心境にはなれないので、僕は「楽しくなくても楽」のほうを選択すると思います。
楽しいことのうらに辛いこと、しんどいことが多いという考えは、休職までしても変わりません。
この言葉で大事なのは「楽」も「楽しい」も両方追い求めないこと。 だと思います。
正反対の概念である「楽」と「楽しい」を同時に求めると、葛藤が生じ、メンタルヘルスの不調を招きます。
「楽しい」と求めるのであれば、「楽をしない。」ことを受け入れること。
「楽」を求めるのであれば、「楽しくない人生」を受け入れること。
どちらを選んでも、辛さはある。生じる辛さを受け入れること。
どちらの人生を取るかは自分次第だと思います。