この記事では、2023年に入って再び発達障害の検査を受けてみた体験談になります。
もし、発達障害の検査について興味がある方がいれば、参考になると思いますので、ぜひ見ていただきたいと思います。(といいつつ、あくまで一例なので、他に経験談の記事があればいくつか併せて見ていただければと思います。)
再検査の動機
僕は、以前書いた記事の通り、2018年と2021年に発達障害の診断を受けました。
ただ、どちらも「発達障害の傾向がある」ということで、僕にとってはあいまいな診断でした。
さらに問題だったのは、検査結果が書き物として僕の手元に残っていないということです。当時言われたことを思い出しながら上記の記事を書き、困りごとの原因を探っているのですが、なんとなく腑に落ちないことも多かったです。
改めて自分のことを知っておく必要があると思い、2022年の年末にカウンセラーの紹介のもと、検査をしてくれる方にアポをいれ、今年はじめに検査をしました。
検査の内容
僕が受けた検査内容は以下のものになります。
WAIS-Ⅳ
現在の日本において最もよく使われる知能検査のひとつです。
詳細については、WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ【専門家監修】【LITALICO発達ナビ】 (h-navi.jp)を参照ください。
今回は数の復唱、言葉の意味の質問、積み木の組み合わせ、記号の書き写しなど10個の検査を通じて、以下の指標を導き出しました。
全検査IQ:知的発達の水準
言語理解:言葉を用いて、物事の概念を理解し、表現する力
知覚推理:視覚情報を正確に捉え、理解し、表現する力
ワーキングメモリー:聴覚情報を短時間記憶し、操作する力
処理速度:視覚情報を正確に捉え、素早く処理する力
なお、上記の指標は100を平均とした数値で表現されます。
ASRS
ASRSは、ADHDの症状を確認するためのチェックテストになります。質問に対して全くない~非常に頻繁の5段階のうちから、自分の状態に近いものを選ぶことになります。
質問は、パートA6問、パートB12問からなります。パートAで4つ以上該当するものがあるとADHDの疑いありと判定されます。そして、パートBは、更に詳しく困りごとを確認するための質問になります。
設問内容については、大人ADHDのセルフチェックテスト。6問で症状の確認(ASRS-v1.1) | 大人の発達障害だった私たちのウェブメディア (miharataka.com)を参照ください。
AQ
先のASRSがADHDについてのチェックテストであるのに対し、このAQは自閉症スペクトラムについてのチェックテストになります。
詳細は以下の記事を併せてみていただければと思います。
大人ASD(アスペルガー)のセルフチェックテスト(AQ) | 大人の発達障害だった私たちのウェブメディア (miharataka.com)
アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)診断チェック | ココオル (cocooru.com)
50の質問事項に対し、そう、ややそう、やや違う、違うの4つの選択肢から自分の状態に近いものを選びます。33点以上あるとASDの傾向があると判定されます。
主要5因子性格検査
この検査については、いろいろな種類があるのですが、僕が受けたのはパソナイザー | 主要5因子性格検査 (bdcon.co.jp)になります。
70問の質問に「はい」か「いいえ」で答えて、外向性、協調性、良識性、情緒安定性、知的好奇心の5つの基本的性格の傾向を見ていくという内容です。
検査結果
僕の検査結果は以下の通りでした。
WAIS-Ⅳ
(平均値を100として)
全検査IQ=135、言語理解=134、知覚推理=122、ワーキングメモリー=141、
処理速度=114
ASRS
パートAが6項目中3項目該当(ADHDは4項目以上該当)
AQ
総合得点 42点(50点満点)
内訳(各10点満点)
社会的スキル9点、注意の切り替え9点、細部への注意8点、コミュニケーション9点、
想像力7点
主要5因子性格検査
情緒安定性と協調性が特に低く「辛辣な批評家」タイプ。
一方、自分のことを悪く強調している可能性があるため、妥当性尺度には問題あり。
所見
検査いただいた心理士の方の所見は以下のとおりです。
非常に高い知的能力があり。特にワーキングメモリーが秀逸。
発達障害の特性は部分的にはADHD特性はあるが、総体的にADHDまでは言えない。一方、ASDについては特性が顕著に認められる。
性格傾向は情緒安定性と協調性が低く、自他ともに皮肉っぽい「辛辣な批評家」の傾向。
ASD特性、性格傾向を背景に、職場で働いているときに疎外感、緊張感を抱きやすい。
仕事上の困難が生じた場合、周囲に気軽に相談できなかったり、更に注意の集中に問題が生じるという、一見するとADHD的な特性が出ることもある。
僕の所感
この診断報告書を見たときに、かなり当たっているという印象でした。
知的能力
IQ評価は予想の範疇でした。
もう少し細かく自分の感じたことを言うと、ワーキングメモリーは数字の復唱が中心で、そろばんをやっていたために数字のイメージが付きやすかったです。文字だともう少し違うかもと思いました。
また、クイズが趣味であり、いろいろな言葉に接していることも大きいと思います。
そして、検査中は一つのことに集中できているので、能力は発揮しやすかったように思います。「〇〇しながら✕✕する」という検査項目があると、また違った結果になるだろうと思いました。
ADHD特性
僕は下記の記事の通り、不注意、衝動性の特性があり、一見するとADHDの傾向はあります。
一方、多動の傾向は少なく、またコンサータやストラテラなどのADHDの薬が効かないこともあり、何か違和感もありました。
結局はADHDについてはグレーゾーンなのだという理解です。
ASD特性
先に取り上げたコミュニケーションの困りごとやこだわりが強い特性がそのままAQの検査結果にも反映されているように思います。
特にこだわりの強さ、価値観について、普通の人との隔たりが大きい感じがします。
自分がわかっていることでも、他の人がわかっていないことが大きく、それをうまく説明することができないということが困りごとにつながっています。
性格評価
僕は下記のように「仕方なく生きている」という心理を抱えています。
そうなると、自分を大事に思えなくなったり、人に対しても関心を持たなくなったりと、自他ともに皮肉っぽい「辛辣な批評家」に見えるのはしょうがないと思います。
そして、負の側面が強調されているというところですが、僕は「辛辣な批評家」というのが本音に近いと思ってます。
ただ、他者に対する言動として「辛辣な批評家」というのを大っぴらに見せるのは損であるので、あまり見せていません。理性で本音を抑えていますが、それがまたしんどいのかもしれないです。
注意の集中について
先に書いた通り、ADHDではないという見解をいただきましたが、それでも注意の集中の問題は残っています。
僕には注意の集中について、
- 細かいところに注意がいきすぎて、全体が見えていない。
- 思い込みが強すぎて、反射的に思ったことを言ってしまう。
- 必要な手順をすっ飛ばしてしまい、ミスに繋がる。
という傾向があります。
これはどちらかというとASDの傾向である、注意の切り替え、細部への注意が苦手という問題や、不安を抱きやすい性格の問題が大きいように感じます。
そうなると、ADHDへの対処より、不安を和らげる対応や、社会的スキルを磨くなどの勉強のほうが注意の集中の対策として有効なようです。
コミュニケーションの課題
確かにIQなどの個人的な能力は高いのですが、そのことで普通の人との隔たりも生んでいるように思いました。
似たような傾向の人とはうまく交流できるけれども、普通の人と交流をするためには、自分も歩み寄って併せていくことができず、うまくコミュニケーションが取れないという問題につながっているように思います。
だから、「辛辣な批評家」というように他者との隔たりを感じ、その結果として自分にも冷たく当たったり、「仕方なく生きている」という厭世的な感情を抱いたりするようにも思いました。
まとめ ~結果をうまく活用する~
ここまで、2023年に受けた発達障害の検査の内容と、自分の結果について書いていきました。
検査料5,000円、結果報告5,000円の計1万円と、以前受けた検査と比べて非常に安く、また結果報告も簡潔にまとめられているうえに当たっていることも多く、自分を知るという意味で大変参考になりました。
そして、検査後、カウンセリング、産業医の面談、主治医の診察の際にこちらから報告をし、職場への対応や治療方針などのアドバイスをいただいています。
最終的にこの結果をどのように活かして、周囲にどのようなヘルプを求めるかは考え中ですが、いろいろなことが見えてきたので、うまく活用したいと思っています。