ここではフールプルーフと言う概念と、それにまつわる業務負荷、そして発達障害との関連について書いていきます。
最近、仕事上でうっかりミスをどうやって改善していくか考えることが多いです。さらに職場で安全関連の仕事をすることで、ミスや不注意が安全を脅かすこともあることを感じているので、これを取り上げます。
フールプルーフとは
フールプルーフとは、フールプルーフ(エラープルーフ化)とは – 意味をわかりやすく – IT用語辞典 e-Wordsによると、
機器の設計などについての考え方の一つで、利用者が操作や取り扱い方を誤っても危険が生じない、あるいは、そもそも誤った操作や危険な使い方ができないような構造や仕掛けを設計段階で組み込むこと。また、そのような仕組みや構造。
です。
「人間は間違えるものである」「よく分かっていない人が取り扱うこともある」という前提に立ち、誤った使い方をしても利用者や周囲の人を危険に晒したり、機器が破損したり、
致命的な事態や損害を生じさせないような構造に設計する設計思想のことを言います。
そして、これは機器の設計だけではなく、作業要領についても当てはまる思想です。
安全におけるフールプルーフ
僕は工場に勤めています。
工場においては、特に安全については利用者や周囲の人を危険に晒したりすることがあるので、製造現場のみならずいたるところに注意、警告があります。
そして、事故が起きたときには指導・改善が入ります。それは事務所でも同じで、ぶつかりそうな曲がり角でもミラーや注意の掲示がされていたり、軍手一つとっても穴が空いていないか確認することが義務付けられています。
もちろん、人間がやることなので機械のように完全に致命的な事態や損害を生じさせないすることは不可能なのですが、できるだけフールプルーフについて、配慮されています。
事務作業におけるフールプルーフ
僕は工場において経理部門に所属しています。
経理業務の重要な一つに、今の自分の会社の財務状態を正しく外部の利害関係者に開示することがあります。そのためには、決められたルールに則り決算をする必要があります。
決算に不正や誤りがあると、財務状態の正しい開示ができなくなり、外部関係者からの信用を失います。
現在は、財務報告統制という仕組み、すなわち決算業務における不正やミスを防止するために仕訳・根拠資料の作成から承認までのチェック体制を構築することが義務付けられています。
そのチェック体制について不備がないか、毎年会社内でもチェックしますし、公認会計士による外部監査も受けます。
不正ばかりでなく「人間は間違えるものである」ということを前提にしたチェック体制を構築するという意味で、フールプルーフの概念が取り入れられています。
フールプルーフと業務負荷
ただ、どんなにフールプルーフに配慮しても、実際にミスは起こります。ミスが起こるたびに、再発防止策を考え、人を指導したり、仕組みを見直したりすることになります。 そうなると通常の業務に加え、再発防止の業務が増えることになります。
通常の業務に余裕があればいいのですが、実際は通常の業務でいっぱいいっぱいになることがあり、再発防止の業務が増えることで負担に感じることもままあります。
そして、通常の業務も再発防止の要素を反映するので、チェックすることが増えることで、負荷が大きくなることがよくあります。
フールプルーフと発達障害
そして、発達障害のの困りごとの中に、「普通の人の日常生活を想定した仕組みに適応できない」というのがあります。詳しくは下記の記事を参照ください。
それは、フールプルーフにおいても同様で、通常想定されることの斜め上を行くようなミスを起こします。そうなると、当初想定していたフールプルーフも見直さないといけなくなります。
そうなると、再発防止の業務を考える場合、「そんなことまで配慮しなくては生けないのか?」と思いがちです。特にミスをした人とは別の人が再発防止を考えないといけないケースでは、その傾向が強くなります。
まとめ ~個人でもフールプルーフを念頭に置く~
ということで、フールプルーフと仕事が増えることについて書いていきました。
特に、発達障害の人が入る職場だと、その人のフールプルーフのために配慮することが増えるので、人間関係も含め、周りの人が負担に思うことも出てくると思います。
周りの人の負担に配慮するためにも、発達障害の人が自分でフールプルーフへの対応を構築することが必要だと思っています。
ミスが起きたときに考えるのは「発達障害だからしょうがない」でも、「自分はできない」でもなく、「なぜそれが起きたのか」振り返り、「どうすれば再発防止できるのか」「自分は何に気をつけるのか」を考えることだと思います。