この記事では「あなたのためを思って」の心理について書いていきます。
僕はよく子供の頃に両親から叱られたときに「あなたのためを思って」と言われました。僕は叱られたときに反抗できず、溜め込んでしまうところがあります。まだ「ダメなものはダメ」と言われるだけならいいのですが、「あなたのためを思って」と言われると、言い返すことができず、こうした枕詞は本当に苦手でした。
今も何か指摘されるときに「あなたのためを思って」と言われると、嫌な感情を抱いてしまいます。
「あなたのためを思って」と言う人の心理
上下関係を持ち込んでいる
「あなたのためを思って」という言葉は、自分の経験が相手よりも持っていないだろうという前提があって出てくるものだと思います。
「あなたは知らないだろうけど、自分はこういう経験をした、だからあなたのことを思っていう。」ということになります。言い換えると経験の有無ということで上下関係を作り、それを持ち込んでいる心理と言えます。
ただ、これは俗に言う「マウンティング行為」と言えるもので、相手を自分より下に見ているから、言葉に出てしまう場合もあります。
僕の言うことを聞いてほしい
「あなたのためを思って」という言葉は、自分の意見をなるべく押し付けがましく思わせたくないけど、自分の意見を聞いてほしい心理から出てくることもあります。
相手に自分の意見を受け入れてほしいけど、受け入れてもらえるかわからないときに言ってしまう言葉です。
おせっかい
「あなたのためを思って」と言う言葉は、自分がこうすべきだという価値観が他の人全てにも当てはまると思っていることで、出てくることがあります。
自分と相手の価値観がすべて一致することはないため、自分の価値観で相手に立ち入ってしまうのです。
自分としては本当に相手のために言っていると思っていても、価値観の違いにより、相手にとってはいらぬ世話だと思われていることがあります。そうなると単なるおせっかいです。
取り繕っている
さんざんきつい言葉で叱った後、急に優しくしようとして「あなたのためを思って」という人もいるような気がします。
こういう表現は、自分の感情の赴くままに自分の意見を言ってしまい、それを取り繕うための発言だと思います。
課題の分離と「あなたのためを思って」
課題の分離というのはアドラー心理学でも出てくる概念です。
人間関係のトラブルについて、「自分の課題(自分がコントロールできること)」と、「他人の課題(自分がコントロールできないこと)」を切り分ける考え方です。
別記事で内容を書きましたので参照してください。
「あなたのためを思って」という言葉は、「他人の課題」に自分が土足で入ってくる意味を感じます。すなわち、課題の分離ができていないときに出てくるものです。
言い換えると、他人に自分が思うような行動を取ってもらいたいという「自分の課題」に考えている印象をうけます。
すなわち「あなたのためを思って」は「自分のためを思って」なのです。
もし、「あなたのためを思って」と言われたら?
僕は苦手意識があるのですが、結局は軽く受け流すのと思います。
なぜなら、「自分のためを思って」自分勝手に言っているだけですから。
重要なのは「あなたのためを思って」といったあとに出てくる具体的な意見です。
意見をきちんと聞いて、自分が受け入れるものであれば当然受け入れたほうがいいのですが、自分には合わないことであれば、受け入れなくてもいいと思っています。
ただ、「あなたのためを思って」ということ自体を過剰にネガティブに感じるのもどうかと思います。
快くないと思ってしまうと、「あなたのためを思って」といったあとの重要な話も頭に入ってこなくなります。それはそれでもったいないと思います。
まとめ ~「あなたのためを思って」言う必要はない~
以上で、「あなたのためを思って」の心理を書いていきました。まとめると、
- 「あなたのためを思って」の裏には「自分の意見の押し付け」の心理がある。
- 「あなたのためを思って」は課題の分離ができていない。
- 「あなたのためを思って」と言われても、そのことは気にせず、その後の意見をきちんと聞いて判断する。
ということになります。
最後に、自分は「あなたのためを思って」とは言いません。やっぱり、自分のしている言動は「自分のため」なんですよ。矛盾を感じるので、言いません。
要望であれば、こうしてほしいことを言えばいい。
相談を受けての話であれば「僕はこう思う」という印象を言えばいい。
「あなたのためを思って」ということは心の中で思う必要はありますが、口に出していうことではないと思っています。