この記事では、発達障害の診断を受けたdobbyが「習慣化」の技術について書いていきます。人間の脳の部位の中でも、「習慣化」のキーとなり、「やる気スイッチ」と言われている「側坐核」を取り上げます。
習慣化やそのメリットにつきましては、下記記事も併せて見ていただければと思います。
上記の記事に度々出てくる「やる気スイッチ」が、これから紹介する「側坐核」に相当します。
「やる気」と側坐核
僕は毎週末に10km以上ランニングをします。ここ10年近くの日課ですが、時々やる気にならない時があります。
気分が乗らないときほど、「ああ、面倒くさいなぁ。やる気が出るまでランニングはやめた。」となりがちです。ただ、「やる気が出るまで待とうか」と思うと、次第に「体動かすの面倒だからTV見よう。」となって、だらだらして、ランニングする気にならなくなります。
でも、「毎週末にランニングしておかないと体重増えるしなぁ。」と思って、一念発起して準備体操の動画を見ると、「面倒くさい」という感情がなくなってランニングする気になります。
何か少しでも体を動かすことで、ランニングをする気になる。こうした機能の働きに関係する脳の部位が、やる気スイッチと言われる「側坐核」なのです。
側坐核とは?
側坐核とは脳の真ん中に左右1つずつあるたった2㎜の小さな場所です。
この側坐核に刺激を与えると、「やる気ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質・ドーパミンがどんどん分泌されます。
ドイツの心理学者 エミール・クレペリン は100年ほど前に「作業をはじめてみると、段々とやる気が出てくる」という、作業興奮の現象を発見しました。
この作業興奮を起こすメカニズムに、「やる気スイッチ」の側坐核、「やる気ホルモン」のドーパミンが大きく関わっていることが、現在の脳科学の研究でわかっています。
側坐核に刺激を与える方法
側坐核に刺激を与える方法、それは「とりあえず何か行動すること。」です。
少し体や頭を動かさないと、側坐核は刺激されません。
「『面倒くさい』と思ってやる気がでない」のに「何か行動しないとだめ?」と思われるかもしれませんが、「やる気スイッチのボタンを押す。」という行動が必要です。ただ、その行動は大層なものではなく、ほんのちょっとしたことで十分だと言われています。
側坐核とif-thenプランニング
別記事で紹介した「if-thenプランニング」はまさに側坐核を働かせる仕組みに合致している習慣化の方法です。
この記事の中で、
「【if】Xしたら【then】Yする」プランニングを設定する場合、Xはすでに習慣化していることなど、行動エネルギーがかからないものにするのが効果的。」
と書きました。
行動エネルギーがかからない行動Xをすることで、側坐核からドーパミンを出して、それを大きな行動Yをするエネルギーに当てることが出来ます。
また、最初の行動Xは、側坐核の刺激に頼らず始めなければなりませんので、できるだけエネルギーをかけないものが必要です。
先程のランニングの例でいくと、「準備体操の動画を見る」が行動【if】Xになります。
「準備体操の動画を見る」→「準備体操をしてみる」→「走り出す。」
という感じ行動を決めると、「準備体操の動画を見る」行動によって、意識しなくてもどんどん行動をするようになります。
習慣化が出来ている状態になると、「準備体操の動画を見るだけで、気がついたら10km走っていた。」ということになります。(もちろん10km走る体力があることが前提ですが。。。)
発達障害の側坐核
発達障害の脳はどうなっている?!脳機能と行動の関連を解説! (houkago-media.com) という記事の中に、側坐核について、下記の記述があります。
ADHDの脳は側坐核・線条体の機能が低下し「報酬系機能」の働きが弱くなることで、やる気や達成感を感じにくく、さらなる刺激を求めるために多動・衝動・不注意につながると言われています。
習慣化の記事の中で、発達障害の人が「やる気スイッチを押す」のは大変と書きました。脳機能の面からもこのことが裏付けられていると言えます。
まとめ ~とにかく行動のハードルを下げろ~
以上で、人間のやる気スイッチ「側坐核」の紹介をさせていただきました。
- やる気を起こさせるためにはやる気スイッチ「側坐核」に刺激を与える必要がある。
- 「側坐核」に刺激を与えるためには、「とにかく行動する」こと。(if-thenプランニングは脳機能の面からも有効)
- 発達障害の人は側坐核の機能が低いために「やる気スイッチを押す」のが大変。
ということになります。
特に発達障害の人は、何かを行動するのが大変であり、そして、それを習慣化することは更に大変です。
でも、良い生活習慣の習慣化は大変メリットがあります。定着すれば意識することなく続けることが出来ます。定着するまで続けることは大変ですが、定着させる方法はあります。
if-thenプランニングの記事で書きましたが、行動のハードルを最大限に下げるために、
- if-thenプランニングの考えを取り入れること
- 何回も行動Yの方法を見直し、ベストな方法を見つけること
ということが、発達障害の人が「行動し、習慣化として定着させる」のに必要だと言えます。
何度も言いますが、「とにかく行動のハードルを下げろ。」これが肝心です。