この記事は、書籍紹介となります。phaさんの『ニートの歩き方』という本になります。
読むきっかけ
僕がこの本を手にとったのは今から5,6年ぐらい前だったと思います。
切っ掛けはあまり覚えていないのですが、今と同じように仕事で悩んで、辞めたくなっていたときでした。ネットで見つけたのか、書店で見つけたのかわからないのですが、「京大卒のニート」という宣伝文句に惹かれて買ったのだと思います。
著者紹介
phaさんのHPにあるプロフィール / pha22.netを見ると、以下のことが書いてありました。
- 1978年生まれ。
- 小さい頃から労働意欲に欠け、京都大学を卒業して適当な会社に入社するも3年で辞め、以降ふらふらと定職に就かずにシェアハウスで暮らしている。
- 著書に『持たない幸福論』『しないことリスト』『ひきこもらない』などがある。
この本が出たのは2012年ですので、当時は34歳でギリギリニートですね。年齢制限で元ニートになった現在でもその生活スタイルは変わりありません。
章立てと内容
この本の章立てと内容は以下のとおりです。
- 第1章 ニートのネットワーク – 僕がニートになった理由
→ニートになった経緯、インターネットやプログラミングとの出会い、インターネットが与える恩恵の話。 - 第2章 ニートの日常風景 – コミュニティとゆるい生活
→著者が過ごしている日常生活の話。 - 第3章 ニートの暮らしかた – ネット時代の節約生活法
→ニートが暮らす上で必要な支出の話や仕事や公的支援の話 - 第4章 ニートのこれから – 社会・人間・インターネット
→著者が語る社会観・労働観・結婚観などの話。
読書感想
人生観
僕は著者とやりたくないことが多く一致しています。
「働きたくない」「責任感がない」「いろいろなことを回避する」「予定を守れない」など、僕が今まで書いてきた発達障害や回避性の特性などが著者と一致します。言及はないのですが、著者も同じような感じなのかなと思いました。
そして、「楽」のほうを優先して追い求める考え方も僕と一緒だと思います。この考え方自体は、下記記事も参照ください。
ただ、著者は3年で会社生活を見切りました。
僕は、早い段階の退職には踏み切れませんでした。
その結果、著者は理想とするのんびりした生活をすることで、メンタルヘルスの安定を得たのだと思います。
一方、僕は多くのお金は得たものの、メンタルヘルスは不安定で、現在休職です。
会社生活を続けたことで得たものも多いと思いますが、犠牲にしてきたものもあると思いました。自身の人生観に沿って生きている著者を羨ましく思いました。
ネットで得られる恩恵
ネットで得られる3つの恩恵として著者は、「人とのつながり」「暇つぶしになること」「最低限のお金稼ぎ」をあげています。2007年当時にこの3つがあれば会社をやめられると思った著者の先見の明を感じます。
この本が出版された2012年から10年経っていますが、この3つの恩恵はより気軽に享受できるものとなり、またその内容は多様に進化・発展しています。
さらに言えば、コロナウイルス蔓延で対人でのコミュニケーションが縮小する中、ネットで得られる恩恵はますます大きくなっていることを感じます。
少し脱線しますが、僕の趣味である競技クイズにおいてもネットで得られる3つの恩恵を享受しています。下記に書くことは競技クイズ界隈では大した負荷にならないことです。
- 人とのつながり
簡単なイベントを企画しSNSで告知すれば、地域を問わずに30人集まってくれる。
そこでは、わいわいと雑談しながら企画をするゆるいコミュニケーションが形成される。 - 暇つぶしになること
イベントで使う問題を準備する時間が楽しい暇つぶし。
ネットの情報を活用、加工することで出題する問題の幅が広がる。 - 最低限のお金稼ぎ
イベント自体は無料もしくは少額であるが、使った問題を問題集として販売することで、お金稼ぎになる。
僕もニートとして生きられる素養があると感じました。僕もネットの恩恵を最大限に受ければ、働かなくても生き続けられるかもしれないですね。
「ニートでいる」ことを受け入れる
ただ、この本に書いているような生き方は普通の人には勧められません。
まず、「汗水流して働く美徳」が一般的であり、世間から受入られにくいです。 そのことで批判を受けることもあります。
また、仕事での達成感、結婚して子供を育てるという充実感、お金と引き換えに得る実体験など「楽」をする引き換えに多くの「楽しみ」を犠牲にする生き方だと思います。
そして、今後生き続けるにあたって、不安がつきまとう生き方とも思います。著者も「体にがたが来たら致命的かもしれない。」ということを書いています。
著者がこうした普通の人には勧められない生き方を続けられるのは、「ぶれない価値観、心のしなやかさ」があるからだと僕は思います。
彼は多くの書籍に触れ、情報も得ながらいろいろな見識を身に着けながら、自分の特性も理解してぶれない価値観を形成しています。
そして、ぶれない価値観を基盤にして、「他人からの批判にもぶれない」「自分が想像できない未来に悩まない」など心のしなやかさを得ているように僕には見えます。
僕は世間一般の生き方に流されたと思います。著者の心の強さに僕は憧れます。
まとめ
以上で、『ニートの歩き方』の感想を書きすすめました。
休職したのを機に、この本を新たに読み返しました。
自分はここまで割り切って、会社を辞めて生活をダウンサイジングする覚悟はまだできていません。なので、現在も復職への可能性を模索中しています。
しかしながら、もし復職を断念しても「なんとなく生きられそう」な気にさせてくれます。
「働かないと生きていくことができない」というとらわれから逃れさせてもらえました。
この本は「働いていることに疲れた」人が読んだらホッとする本だと思います。