この記事では、「完璧主義」について自分なりに考察した記事になります。
先日、障害者職業センターで復職支援の面談を行ったときの話で、僕が「完璧主義では完璧にはなれないですよね~。」と話したら、面談いただいたカウンセラーの方に「哲学的なことを言いますね。」と言われたので、取り上げてみました。
実際自分は休職して、振り返ってみてそう思ったので、書いてみます。
完璧主義とは
完璧主義 – Wikipedia によると、心理学的には
「万全を期すために努力し、過度に高い目標基準を設定し、自分に厳しい自己評価を課し、他人からの評価を気にする性格を特徴とする人」
という意味です。
言葉は臨床心理学者のアルバート・エリスが、全ての物事を完璧に実行しようとする心理を「非合理信念」と呼んだことから始まります。おそらく50年以上前に考え出されたものですが、その時にも「すべての物事を完璧に実行しようとするのは無理がある」という考えだったのかなと僕は思いました。
完璧主義の特徴
完璧主義をやめたい……完璧主義者の特徴やメリット・デメリットを紹介 | マイナビニュース (mynavi.jp) によると、完璧主義を抱える人の特徴として以下のことが挙げられています。
- 自尊心が高い
→自分の意見が正しく、周囲の意見が誤っていると思う心理
周囲を頼れなかったり、意見を受け入れられない傾向がある。 - 自意識過剰
→他人が自分をどう見ているかを気にしすぎる心理 - 理想像が高い
→「満点」「1番」でないと満足しない心理 - 柔軟性がない
→型にはまった考え方をしがちな心理
視野が狭くなりがちな傾向がある。 - 責任感が強い
→任された仕事に妥協を許さない心理 - 失敗が怖い
→他人からの評価を恐れ、慎重になる心理
責任感が強い、理想像が高いなどのプラスな面がある一方、周囲の意見を受け入れられなかったり、他人を気にしすぎたりするマイナス面もあるということが言えると思います。
完璧主義のメリット・デメリット
また、同じ記事で完璧主義のメリット、デメリットについて、以下のことを挙げています。
- 質の高い成果を出せる
- 自己管理ができている
- 信頼度が高い
- 努力を厭わない
- 始動が遅れやすい
- 他人にも完璧を求めやすい
- 仕事を放棄してしまう可能性がある
理想像が高い、責任感が強いということから成果を出すことに最大限努力しようとします。成果を出すことへの執着心が大きく、自己管理をしたり、努力をいとわないと言われています。また、成果を出す努力が他者からは真剣な態度に見えることから、信頼度が高かったりします。
ただ、失敗が怖くなる性格がもとでなかなか着手できないデメリットが有るように感じます。また、理想像の高さ、柔軟性のなさから、他人にも自分と同じような完璧を求めてしまい、他者との軋轢が生じる原因になります。そして、完璧が達成できないことで嫌気が差し、仕事を放棄してしまうことも考えられます。
dobbyの完璧主義の印象
以上のことを踏まえ、僕が抱く完璧主義の印象を書いていきます。
「完璧という楽」を求める完璧主義
自分が思う通りに完璧に事が進むと非常に楽です。
なぜなら、完璧だと失敗がないからです。
周囲からの評価が下がることもないですし、周囲から怒られることがありません。
また、予期しないトラブルやミスへの対応(リカバー、予定変更の調整など)がないので、自分にも面倒なことがありません。
だから、「いつも完璧である状態が楽」であり、自分にとっては憧れに感じることで、完璧主義にのめり込むようになったと思います。
「一人で完璧」は不可能
「いつも完璧である状態が楽」といいつつも、当然そんなことはできません。
ましてや、自分一人で完璧など達成できるわけがないのです。
自分一人ではわからないことが多いですし、その上、実際に起きていることを自分のものの見方で曲解することもあります。だから、自分ひとりで完璧だと思っても、実際やってみると自分が思う通りに進まないのがほとんどです。
しかも、僕は発達障害の特性があり、普通の人がしないような失敗をいろいろなところでします。そんな自分が「一人で完璧」を目指すのは絵空事です。
ただ、自分は「完璧であるほうが楽」ということを望んでいます。絵空事である理想と、いろいろな失敗をする現実とのギャップで苦しんでしまいます。
独りよがりの完璧主義
「一人で完璧」を目指すのが無理ということを更に突っ込んで考えると、完璧主義は独りよがりの側面があると思います。先に述べた特徴である自尊心が高い、自意識過剰など、他者に目を向けず、自分にしか関心がない特性が根底にあるように思います。
人間はだれでも、いろいろな人の関わりの中で、仕事や生活をしています。
孤独と言われる人、引きこもりで社会との接点を断っているように見える人も、裏ではいろいろな人のかかわり合いのもとに生活をしています。
当然、各人が考えている価値観はバラバラです。したがって完璧の基準も人それぞれです。だから、自分ひとりだけの完璧を求めても、各人の価値観と合わなければ、受け入れられないし、成果を出すこともできません。
また、自分が完璧とは思わなくても、他の人から見れば十分な仕事の出来であれば、完璧を求めること自体、骨折り損のくたびれ儲けになることもあります。
別に完璧を求める完璧主義は悪くないのですが、組織の中での目標、理想を達成することが完璧であるとすれば、独りよがりの完璧はあまり良いものを産まないような気がします。
まとめ ~独りよがりの完璧主義の脱却~
以上で、完璧主義について話をしてきました。まとめると、
- 完璧主義はデメリットばかりではない
- ただ、完璧主義は独りよがりの側面がある
- 独りよがりの完璧主義はあまりいいものを産まない
ということになります。
結局、僕の場合、完璧主義の動機は「失敗したくない」「楽をしたい」ということにあります。そして、「自分さえ良ければそれでいい」と思い、人との関わりを避け、独りよがりの完璧主義を目指していたように思います。
結果として、完璧でなければ怒られる、失敗すると面倒ということになり、何もやらなくなりました。完璧主義のデメリットで挙げられている、仕事を放棄してしまうという状態に陥りました。メンタルヘルスの不調に至った理由の一つなのだと思います。
先に述べた通り、独りよがりの完璧主義では良いものは産まないのです。
社会で生活する上で、他者との関わりは欠かせないものです。
その中では、他者との価値観の違いを理解して、折り合いをつけながら柔軟に考え、協調しながら組織全体の完璧を目指すこと、すなわち「独りよがりの完璧主義」から脱却しないといけないと感じました。
ただ、他者との価値観の違いがどうしても折り合えず、組織全体の完璧を目指す行動を取るのがしんどくなったら、その組織から抜ける選択もありなのだろうなと思います。
その選択は自分の責任で取らないといけません。
完璧主義自体は悪いことではないのですが、独りよがりに陥らないことは本当に大事ですね。。。