この記事では発達障害の診断を受けた自分が、「同調圧力」について考察する記事となります。特に、発達障害の診断を受けている自分がどのように感じ、生きていこうとしているのか、書いていきたいと思います。
近年、日本は特に同調圧力が強くなる傾向があり、コロナ禍でのマスク着用や自粛などの行動を強いられるので、題材に取り上げました。
同調圧力とは?
まず、同調圧力という言葉をコトバンクで調べてみると、
集団において、少数意見を持つ人に対して、周囲の多くの人と同じように考え行動するよう、暗黙のうちに強制すること。
とあります。
特に、集団全体の利益を重んじ、和を乱さないという名目で行われることが多いと思います。
ある一定の目的の下、同調して行動することは必要な局面は多いと思います。特に東日本大震災などの非常時に、同調して規律を持って行動することによって、復旧に大いに役に立ったことがその例として挙げられます。
ただ、同調して行動することが行き過ぎてしまうと、以下のような弊害が発生します。
- 反対意見が言いにくくなる
- 人に迷惑をかけてしまうことへの懸念
人それぞれ、いろいろな意見があって当然だし、得意不得意があり迷惑をかけてしまう局面があると思います。人の個性を圧力という名の下に意見統一を図ること、意見の統一が出来ないことを「迷惑」と思わせてしまうことは、その集団において不健全ではないかと思います。
日本での同調圧力
僕は、記事作成にあたって組織論の専門家である太田肇氏の著書や、意見をまとめた記事を読みました。
社内の「同調圧力」への正しい対処法、組織論の専門家が解説 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
その中で、同調圧力の要因を3つ取り上げています。
- 閉鎖性
→日本は島国であり、移民が少ない。
終身雇用、年功序列、企業別組合に起因して、職業人材の流動性
が低い。 - 同質性
→日本は異民族が少ないため、国民の宗教や価値観、文化に大きな
違いがない。 - 個人の未分化
→日本では仕事を課やチームで行うことが多く、個人の職務範囲が
明確でないため、定時退社や休暇取得に心理的な制限がかかる。
以上のことにより、社会的に、個人よりも全体を重視するきらいが日本は強いということになります。
さらに現実的な利益や必要性を超越し、『絆』や『結束』などとうたい、一致団結を最優先する『共同体意識』が同調圧力を促します。上記の通り同質的、閉鎖的な日本の社会構造にあることで『自分がそうだから同質なメンバーも同じ言動をすべき』と考えてしまう傾向があり、『共同体意識』が発生します。
発達障害の特性と同調圧力の相性
発達障害の特性は同調圧力と大変相性が良くないです。自分の経験からもそれを感じます。特に以下の2点が悪さをしています。
「困りごと」で同調したくても出来ない
以下の記事にあるように、発達障害の特性は、生活をする上でいろいろな困りごとになります。
特に困りごとに直結するADHD、ASDの特性について、ここでも掲載します。
- コミュニケーション及び相互関係の障害
・人の気持ちを理解するのが苦手。
・冗談や比喩が理解できない。
・興味のあることを一方的に話し続ける。
・非言語的なサイン(表情・目配せ)を読み取るのが困難。 - 同一性へのこだわりや興味・関心の狭さ
・日課・習慣の変化や予定の変更に弱い。
・特定の物事に強いこだわりがある。 - 聴覚・視覚・触覚など感覚過敏
- 不注意
・失くし物や忘れ物が多い。
・納期やスケジュールをよく忘れる。
・人の話を一定時間集中して聞けない。 - 衝動性
・予測や考えなしに行動してしまう。
・目の前のことを優先し、やるべきことを先送りにする。
・相手の話を待てない。 - 多動
・じっとしていられない。
・動き回る。
・しゃべりすぎる。
苦手なことは普通の人には理解できないくらい苦手であること、そして普通の人の日常生活を想定した仕組みに適応できないことが困りごとになってしまいます。
ADHDの特性としては、不注意や衝動性について、「他者と同じ言動をする」ということが困難になっていると感じます。特に場の空気を読んで言動をセーブすることに困難さを感じます。
また、ASDの特徴である「空気が読めない。」「人の気持ち意向を読み取ることが苦手。」ということが影響し、組織や社会にある暗黙のルールが読み取れないことが多いです。そもそも暗黙のルールに関心がない場合もあります。
また、感覚過敏についても、特にコロナ禍でマスクを付けなければいけないのが苦痛になったりします。
したがって、「他者と同じ言動をする」ということをしたくてもできないというのが正直なところです。知らず知らずの内に暗黙のルールを破ってしまい、他の人を不快にさせてしまうこともよくある話です。
しかし、見た目は普通の人と変わらないため、周囲の定型発達の人からは、「なぜできないの?」と思われてしまいます。
ネガティブな感情コントロールが苦手
以下の記事にあるように、発達障害の特性があるとネガティブな感情を抱きやすく、時には怒りにも繋がります。激しい怒りは集団全体の和を乱す要因にもなりかねません。
ADHDの特性がある人は、他者から行動をたしなめられたり、他者とのペースが合わないことで不安や不満などの感情を抱きやすくなります。また、衝動性の特性がそのものが、怒り感情の取り扱いを難しくさせます。
また、ASDの特性によりその場の空気が読めずに叱責を受けることで、不安や不満などの感情を抱きやすくなります。さらに「他者と同じ言動をする」ことや「暗黙のルール」に納得ができないと、過剰に反発する傾向もあります。
特性が抱くネガティブな感情が怒りとして爆発してしまうと、周囲の人々は当事者に良くない感情を抱いてしまいます。結果として怒りの反動で同調圧力がさらに強まってしまい、ますます同調圧力の強さ、不快さを感じてしまうことになります。
まとめ ~同調圧力をどう受け入れるか~
以上で同調圧力と発達障害の特性の相性について僕の考えを書いていきました。冒頭に掲げた「同調圧力」の定義と照らし合わせると、
・発達障害の特性をもつ人は少数であること
・周囲の多くの人と同じように考え行動することができないこと
・暗黙のうちに強制されることが理解できないこと
ということになり、やはり同調圧力が強い集団の中では発達障害の特性を持つ人は生きづらさを感じやすいように思います。特に日本では同調圧力が強い傾向にあり、発達障害の特性を持つ人にとっては、より生きにくい環境であると思います。
といいつつ、こういう環境でも生きなければなりません。なので、同調圧力があることを嘆いたり、同調出来ない自分を責めるだけで何もしないのではなく、同調圧力に対して、自分はどのように行動するかを考える必要があります。
まずは同調圧力の内容を理解し、受け入れるかどうか、行動指針を決めましょう。
その集団にいることにメリットが有る場合は、同調圧力には逆らわず、適切な行動をとったほうがいいでしょう。まずは他人と同じ行動に合わせてみるのがいいかなと思います。行動を工夫してみることで、他人と同調することが出来、集団に馴染むことが出来ます。
もし、同調圧力に納得がいかない場合は、なぜ「自分は納得いかないのか?」というのを理解しましょう。理解した上であれば反発してもかまわないと思います。
「納得いかないのに我慢している」状態が、ストレスもかかり、一番良くないと思います。
時に「僕はこういうところに納得がいかない」と声をあげることも、不快な同調圧力を打開していく一つの手段になります。声をあげたことで、周囲が変わってくれるかも知れません。少数の意見も貴重です。
最後になりますが、同調圧力に順応するにしても、反発するにしても、それを決めるのは自分自身です。メリット、デメリットを自分で考えて判断・行動すること。そして、その行動した結果を自分の責任で受け入れること、これが一番大事です。