メンタルヘルス

発達障害のカミングアウトについて ~木下優樹菜さんの例~

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 この記事では、発達障害の診断を受けたdobbyが、木下優樹菜さんの発達障害を公表したことの感想を書いていきます。

 2022年7月25日、元タレントの、木下優樹菜さんが自身のYouTubeチャンネルを更新し、ADHD・発達障害であることを公表しました。詳細については、木下優樹菜、ADHD・発達障害を公表 – モデルプレス (mdpr.jp)を参照ください。(動画も掲載されています。)

 これを踏まえ、自分の感想を書いていきます。

(前提として、木下優樹菜さんに対して、ファンでもないですが、騒動に対して悪い印象も抱いていません。なので、フラットにカミングアウトの感想を書いているつもりです。)

発言に軽さを感じる

 最初に抱いた印象はこれです。 

「いきなり『チョリース!!』は何だよ。」と思いました。服装もそうなのですが、あっけらかんとしているんですよね。

 僕の場合とあまりにも違うなと思いました。当然僕のカミングアウトと木下さんのカミングアウトとは状況が違うのでそう感じるかもしれないですが、やはり「軽いノリ」なのです。

 もともとの木下さんのキャラクターがあり、「変わらず元気にやっていきます。」というイメージを与えたい意図があるようにも感じましたが、それにしても発言に違和感を感じます。

 特に過去の騒動から多大な迷惑を被った人がいると思われる状況を考えると、この「軽いノリ」はどうなんだろうと思いました。

本当にADHDの診断なのか?

 木下さんが受けたと動画で語っている検査はおそらく下記のQEEG検査だと思います。

QEEG検査(定量的脳波検査)とは?検査方法や光トポグラフィー検査との違いについて | ブレインクリニック (tokyo-brain.clinic)

 QEED検査については僕もいろいろと記事や動画などを見ましたが、正直、「これだけでそこまで診断するのか?」と思います。

 発達障害は、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスに原因があるというのは定説としてあるようなのですが、細かい事についてはまだまだわかっていない、そして、医師の間でも見解が分かれているというのが現状です。

 だからQEED検査だけで「そこまで話せるの?」と思いました。

 僕は、下記の記事にあるように、知能検査や問診などにより診断が下りたので、診断を受けるまでの過程に違和感を感じます。

発達障害の診断を受けるまで(後編)  この記事では、dobbyが実際に受けた発達障害の診断について書きます。 前編(発達障害の診断を受けるまでの経緯)については、以下参照...

 木下さんの動画では、知能検査や問診などのことが触れられておらず、QEEG検査のことばかりが強調されている印象をうけました。

 結果として「脳波を見ただけで発達障害かどうかわかる。」という、正しいことが立証されていないメッセージになりはしないかという疑問があります。

診断を受けて、どうするの?

 木下さんは動画の後半で、「寄り添う気持ちを少しでも持っていただけたらなって思う」と言っています。でも、その言葉は「自分が生きやすくする」努力をしたあとでの話だと思っています。

 ADHDは脳の器質的な問題であり、現代医療ではそれを根本から治すのは不可能と言われています。

 だからこそ、公表した後にやることは「ADHDであることを前提に、どのように社会的に対応していくか」考えることだと思います。

 ADHDであることを公表し、自分をさらけ出すこと自体はいいとは思います。

 ただ、「自分をさらけ出す」だけで終わらせるのではなく、「自分が生きやすくする努力」「他者へのヘルプの出し方」など、今後の自分を明確にしないと、周囲の人は寄り添う気持ちを持てないような気がします。 それがこの動画の中で見えてきませんでした。

 そして、寄り添う気持ちを持つかどうかは当事者が決める話ではなく、周囲の方が決める話です。

 もし、周囲の人が寄り添わなくても、それはその人の判断として、自分が受け入れなければならない話だと思います。「ADHDだから何やっても良い」というわけにはいかないのです。

 「寄り添う気持ちを少しでも持っていただけたらなって思う」だけの言動では、当事者の方から反感を買っても仕方がないなと思いました。

まとめ ~このカミングアウトは良かったの?~

 以上で、木下さんの動画を見た印象を、発達障害の特性がある僕が書いてみました。まとめると、

  • 発言に軽さを感じる。
  • 脳波検査だけで判断できるとは思えない。
  • 今後、木下さんがどのようにADHDと付き合っていくかはわからなかった。

 自分を知るということで、病院を受診するのは良いことです。

 そして、自分という人間を伝えるという意味で、ADHDを公表することも良いことだと思います。

 ただ、「自分を知る」ことがゴールになってしまったことで、「このカミングアウトは良かったの?」という印象を僕は持ちました。先に書いた通り「これからどうするの?」ということがないと、カミングアウトしても周囲は寄り添えないと思います。

僕も「これからどうするの?」の視点に欠けていて失敗しています。

 また、ブレインクリニックで言われたことだけを鵜呑みにしているような感じがあり、と短絡的なところも見受けられます。 

 このカミングアウトについては、木下さんを支える周囲の方も含め、きちんと勉強して、ADHDを理解したうえで動画を出したほうが良かったのではないかというのが僕の印象です。

 最後に、発達障害のカミングアウトについては、以下の記事も書いていますので、併せて参照いただければと思います。

発達障害のカミングアウトについて  この記事では、発達障害の診断を受けたdobbyが発達障害を周囲にカミングアウトすることについて、自身の経験を踏まえながら考えを書い...
ファッション発達障害  この記事では発達障害の当事者であるdobbyが、「ファッション発達障害」について考えます。 ファッション発達障害とは? ...

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