この記事ではメンタルヘルスの不調で休職中の自分が、リワークプログラムを受けている経験談になります。僕は2022年3月より3ヶ月間、障害者職業センターでのリワーク(復職支援)プログラムを受けました。ここでは3ヶ月目について書いていきます。
この記事を見ていただくにあたって、下記記事も併せて見ていただければと思います。
リワークプログラム① ~プログラム受講まで~|休職中で発達障害の僕の人生経験に付加価値をつける実験 (dobbyhukakati.com)
リワークプログラム② ~受講開始から1ヶ月経過~|休職中で発達障害の僕の人生経験に付加価値をつける実験 (dobbyhukakati.com)
リワークプログラム③ ~2ヶ月目~|休職中で発達障害の僕の人生経験に付加価値をつける実験 (dobbyhukakati.com)
僕のリワークプログラムのスケジュールは以下のとおりです。
- 3月上旬:リワークプログラム開始
- 4月中旬:職場への中間報告
- 6月上旬:職場への最終報告
リワークプログラム終了
通所スケジュール
段階的に職場での勤務時間に合わせていくようにしており、最終的には9時~16時までの通所となりました。最初が週3日、10時~15時ということを考えると、だいぶ長くなった印象です。それでも職場の就労時間は長くなるので、まだ負荷かけないといけないと思いました。
センターの方は継続通所を重視しています。
安定就労ということを考えると、毎日休みなく通所できる事が大事で、そのために、体調・気分のコントロールを行う事ができるかを見極めています。
受講プログラム
復職後の働き方ついて、今まで学んだことも踏まえ考えていき、職場に対してどのように復職をアピールしていくかというアウトプットが中心となります。
講習
アウトプットを重視するため、講習については2ヶ月目より少なくなりました。
- 対人技法(ソーシャルスキルトレーニング)
- キャリア講座
→今までの経験、会社の役割、自身の価値観を整理し、これからの
働き方を考える。 - ジョブリハーサル(講習で得た技術の実践)
最終報告
リワークプログラム終了前に行われる、一番大事なイベントです。最終報告に向けた報告書の作成、職場への報告にかなり時間を使いました。最終報告の内容は以下のとおりです。
- 現状報告(体調・気分・通所状況)
- 休職に至った要因の振り返り
- リワークプログラムで学んだこと
- 職場復帰後の再発防止策・職場への要望事項
- 職場復職への意欲
中間報告後、まず休職に至った要因を振り返り、その内容をカウンセラー、アシスタントの方と整理しながら、再発防止、要望事項を自分で考えていく作業を重ねていきます。
自分の特性、苦手なところ、職場と自分の価値観の相違、そしてまだ復職に不安を抱えていることを正直に書きました。初稿はあまりに率直すぎて直されたくらいです。
6月上旬に会社に出向き、カウンセラー同席のもと、職場の上司・人事・産業医・保健スタッフに対し職場で最終報告を行いました。結局は職場の上司から課題をもらったので、仕切り直しです。
下記、記事にある通り、まだ職場との関係で強い拒絶感を抱いており、特に周囲の人々への配慮不足について今後どうすればいいかという答えがなく、その部分が課題になっています。
ナビゲーションブック
障害者職業センターの方から、自分の特徴や障害特性を伝えるためのツールとして、ナビゲーションブックの作成を勧められました。下記記事に詳細詳しいので、併せて見ていただければと思います。
「ナビゲーションブック」とは?就職活動で精神障害の特性を伝えよう | 障害を持つ方向け就職支援〜Salad〜|就労移行支援事業所の検索 (salad-knowdo.com)
ナビゲーションブックは自分の特徴や障害特性を理解し、就職を始めとして、職場の人に伝えるツールとなるものです。下記のようなことをナビゲーションブックに書いていきます。
- 自らの特徴やセールスポイント
- 障害特性
- 職業上の課題
- 企業への配慮事項
僕の場合、以前職場に出した発達障害のトリセツを送付して職場に配慮を求めたことがあります。それを苦手なこと→自分での対処→配慮事項の順で因果関係を整理して出し直しました。
職場からは「あまり書いてある内容に変わりはない。」という評価なんですが、配慮を求めたいことはあまり変わりはないので、言い続けて折り合いを探すしかなさそうです。
スタッフの方のフォロー
カウンセラーの方やアシスタントの方のフォローは以下のとおりです。
- 最終報告の報告書の指導、報告会への同席
- 個別面談(休職に至った振り返りと対処索)
カウンセラーの方、アシスタントの方ともに自分のことをよく観察してくれていると思いました。相談の中でも、リワークプログラム中の一つ一つの行動を踏まえて話をしてくれるので、安心して今の本音を打ち明け、相談することが出来たように思います。
そして、僕にはメインの担当の方が一人つくのですが、それ以外のアシスタントの方も自分のリワークプログラムの内容を理解していただけていました。タイムリーに適切なアドバイスをいただけたことも助かりました。
参加者
僕の場合は、参加者の方とは講習の中で話をしていく程度でした。
最後の個別の挨拶も同期だったり、話が合う人2、3人と軽くした程度です。
それでも、いろいろなことに悩んでいたことを共有していきましたし、自分も相手も気づきとなることが多かったように思います。その意味で、一緒に講習を受けた参加者の方がいてよかったと思いました。
リワークプログラムのメリット・デメリット
僕が3ヶ月間障害者職業センターのリワークプログラムを受けてみてのメリット、デメリットは以下のとおりです。
メリット
一人で悩むことがなくなった
これが一番自分にとっては大きかったです。
僕は、職場との環境調整がうまくいかなかったこと、一人で悩むとネガティブなことしか考えられなくなることがあったので、誰かと話がしたいと言うのが一番の目的でした。
困り事があったらカウンセラー、アシスタントの方に相談したり、参加者同士で悩みを話しをする場があったりして、一人で考えることが少なくなりました。そして、どんな困りごとでも否定されず、受け入れてもらえるので、気分はかなり落ち着きを感じました。
気持ちが前向きになる
これは、他の人を見て感じたことなのですが、入った当初と比べるとだいぶ印象が変わり、明るくなったり、積極的な面を見せる方が多かったように思います。
同じ時期に入った人は最初「暗い人だな」と思っていましたが、講習を通じて話をしてみるとすごく気さくな対応をしていただきました。また、最初おとなしそうな女の子も、講習で仕切り役を買って出るなど、講習を受けるに従って変わっていく方が多かったです。
僕は、あまり変わらない感じでしたが、他の人からは「明るくなった」とは言われているので、自分で気が付かない変化があったかもしれないです。
職場との交渉は丸投げできる
リワークプログラム中は、ほとんど職場との接触はしませんでした。
中間報告、最終報告についても職場との調整はカウンセラーの方にお任せでした。
結果として、職場のことを気にせず、体調・気分の回復、休職の振り返り、課題の遂行に専念できました。
僕は、休職前の職場との話し合いが上手くいかなかったので、自分のことを考えることに専念できたことは、大きなメリットだと思います。
デメリット
これは、障害者職業センターのリワークプログラムに限った話ですが、自分がデメリットと感じたことも書いていきます。
医療機関のデイケアやリワークも考えたことはあるのですが、近くになかったので、障害者職業センターを利用したという経緯があります。その経緯もあって感じたデメリットと思ってください。
通所支援期限がある
障害者職業センターのリワークプログラムの支援期間は最大3ヶ月です。
それ以降も随時カウンセラーの方の相談による支援、そして、復職後もジョブコーチ・卒業生同士の意見交換会などの支援の機会はあるのですが、通所としては終了してしまいます。
自分としては、復職したいかどうか気持ちがまだ前向きになれないまま期限を迎えてしまいました。できれば、期限を決めず、通所支援を受けたかったというのが本音です。
復職が前提となっている
基本的に障害者職業センターの支援は、「職場・主治医と連携して復職を目指すこと」を前提にしています。そして、最終報告で職場が受け入れの意思を示した後、すぐに復職するというケースが多かったです。
僕の場合、それがプレッシャーになっていたことがあります。
正直、自分は復職したいのか、そうでないか、一人で抱え込まず、出来るだけじっくり考えたいと言うのがありました。ただ、復職に対する自信がつかなかったこと、職場との関係性があまり良くなかったこともあり、復職については後ろ向きのままでした。下記記事がその経緯です。
通所支援期限が近づくことで、復職に対する怖さが出て、気持ちが沈んでいったり、精神的に不安定になることが多かったように思います。
まとめ ~どんな人が向いているか?~
以上で、リワークプログラムを振り返ってみました。
- 最終報告の内容
- カウンセラー、アシスタント、参加者とのやり取り
- 障害者職業センターのリワークプログラムのメリット・デメリット
ということになります。
僕を含め周囲の方々を見るとかなり変わっていき、最終的には復職に対して前向きになってプログラムを卒業していきました。僕も継続支援が必要な状態ですが、状況は確実に進んだと思います。デメリットも書きましたが、リワークプログラムのメリットのほうがはるかに大きいと思います。
強いて言えば、障害者職業センターのリワークプログラムは「復職したい願望はあるけど、まだ自信がない」という人が向いているのかと思います。
逆に「自分のことをじっくり知って、復職、転職にこだわらずに次の人生を決めていきたい。」という方は、医療機関のリワークなど、他の手段を選んだほうがいいかもしれません。
最後に大事なことなのですが、どのようなリワークプログラムを受けても、それは「支援してくれる」だけです。あなたの人生をリワークプログラムが方向づけするわけではありません。
ストレス対処やコミュニケーションのテクニック、実践する機会は教えてくれますが、それは一般的な技術論であり、個々の問題に完全にフィットするとは限りません。
自分がどのような問題を抱えているのか、今後どのように復職していくのか、そしてどのような人生を歩んでいきたいか、その答えは自分の中にしかありません。
人から正解を教えてくれるたぐいの問題ではないのです。
そして、それに「誰でも正解となる答え」は存在しません。正解は人それぞれです。
自分なりの答えをいろいろな人の協力、支援を仰ぎながら見つけていただければと思います。それを理解した上でリワークプログラムを受講するのは大きなメリットになります。
最後になりますが、以下の書籍にリワークの内容が記載されています。(著者の方は日本で始めてリワークプログラムを提唱した方です。)ご参考までに読んでいただければと思います。