この記事ではメンタルヘルスの不調で休職中の自分が、「成功体験を感じたくない心理」について考えます。
僕は特に仕事において成功体験を感じたことがありません。たとえ周囲が評価したことでも、自分の中で成功体験を感じたくないと思っています。
そして、趣味の世界でも成功体験を感じたくない時があります。考えてみると、僕が成功体験を感じる条件は以下のものです。
- さらなる成功を求められないこと
- 一人もしくは意見の合う少数の人間で行ったこと
- 責任が伴う精神的負担が最低限であったこと
「成功体験を感じたくない」心理は普通の人には理解できないと思います。なぜ僕がそういう心理を抱くようになったのか、書いていきます。
成功体験を感じたくない理由
自分に自信がない
成功すると周囲からの期待が高まることで、「より高い次元で成功しなければいけない。」と感じるようになります。自分に自信がないと、高い次元での成功を求めていくことが辛くなるし、ストレスがかかります。
特に回避性パーソナリティ障害だったり、自己肯定感が低い人は「小さな目標達成や、小さな成功を、自分のために大きく取り上げて自信をつけることも大切。」と言われます。
でも僕の場合、自信をつけてしまう事自体不安です。
発達障害の特性で、いろいろとやらかしてしまうことが多く、1回成功したとしても、繰り返して成功するとは思えないのです。
自信をつけてしまうこと自体不安を感じると、小さな目標達成、小さな成功が大きな目標達成、大きな成功につながるとは思えなくなるのです。
「現状維持」の心理にある矛盾
さらに言えば、より高い次元での成功を求める苦しみは一生続きます。
成功が途切れてしまうと、現在の状態から後退してしまうからです。
そのメカニズムは下記の記事の中にある「コンフォートゾーン」のところに書きました。
成功体験を必要としないという心理は、「今のコンフォートゾーンに満足している」気持ちから来ています。そして、変化を嫌うという人間の性質も関係しています。なので、本来は成功体験を感じるための行動を起こしたくないのです。
でも、変化の多い社会の中で、現状維持をするためには、望まなくても高い次元での成功体験を積むことが必要です。
現状に満足して成功体験を積みたくないという心理と、成功体験を重ねないと現状維持できないという心理が矛盾し、苦しむこととなります。
褒められて嬉しくない
僕には「褒められて嬉しくない心理」があります。何かに成功して褒められても嬉しくないことがよくあります。成功体験をきっかけにして周囲から褒められるのが通常だと思います。ただ、「褒められて嬉しくない心理」があると、褒められるきっかけとなる成功体験も感じたくなくなります。
「褒められて嬉しくない心理」については以下の記事を見てください。
この記事の中で、褒められて嬉しくない心理として「プレッシャー」「警戒感」「調子に乗る」をあげました。これに共通する原因は「自己肯定感の低さ」だと思います。たとえ成功しても「次は失敗するかも知れない。」という不安で「褒められたくない」のだと思います。
それとともに「いい子でいることへの反発」もあります。いい子でいるために褒められたいと思い、そのきっかけとして成功体験を求めるところがあります。ただ、いい子でいることを本心から求めているわけではないため、成功体験を得ることも嫌になります。
成功体験を避ける心理
インポスター症候群
インポスター症候群とは、「仕事で成功し、客観的な評価をしっかり得られているのにもかかわらず、自分自身を過小評価してしまう心理状態」のことを言います。詳細は、下記記事を参照ください。
インポスター症候群とは? 背景、特徴、原因、対策、コミュニケーション方法について – カオナビ人事用語集 (kaonavi.jp)
僕が仕事で評価されてうまく行っているときには、こんな心理状態でした。仕事で結果を残せたにもかかわらず、成功体験ができた理由を「運がよかった」「周りの協力のおかげ」と思っていました。昇進の話が出てきても「怖い」としか思えませんでした。
実際、仕事で結果が残せなくなってから、やはり「うまく行っていた時は運が良かったんだ」「周りとの協力関係が築けないとこんなものなんだ。」と思うようになっています。成功に対する客観的な評価も的外れだと思うようになり、成功体験を素直に感じることができなくなりました。
自分が過小評価しているから成功体験を感じたくないのか、自分の評価が合っていて客観的評価と齟齬が生じているのかはいまだにわからないです。
成功したくないために成功体験を振り返る
僕は成功したときに、その原因を探し、成功体験を振り返ります。それは次の成功の糧にするためではなく、成功体験を感じたくないからです。
成功した条件を探す心理
先程のインポスター症候群にも似たようなことはあるのですが、僕はたとえ成功しても、成功した条件を探して、「この条件がないと失敗する。」と思いこんでしまいます。その結果、さらなるチャレンジをしなくなります。
成功体験を振り返って、さらなる成功の糧にすれば、成功した条件を探す心理は役に立つと思います。しかし、僕の場合は成功体験を次の成功につなげようとしないのです。
成功体験に嫌なことを探す心理
そして、僕には成功しても、その過程で嫌だったことを思い出します。たとえ成功したことでも、くり返しもう一回やるのが嫌になります。
僕の場合、特にトラブル、意見の衝突などがあったことがストレスの原因となり最終的に成功して、色んな感謝を受けても、その体験自体嫌になるのです。
成功体験を振り返って、その時のトラブルも改善材料として、さらなる成功の糧にすれば、嫌なことの振り返りも役に立つと思います。しかし、僕の場合は成功体験を得たくないために嫌なことを探してしまいます。
まとめ ~成功体験を素直に感じるために必要なこと~
成功体験を感じたくない心理について書いていきました。まとめると、
- 自分に自信がない
- 現状維持したい
- 褒められても嬉しくない心理
という心理が働き、成功体験を感じなくなります。その結果として、
- 自分自身の過小評価
- 成功体験の中での嫌なこと探し
をしてしまい、成功体験を避ける様になっていきます。
ここまで書いていくと、「成功体験を感じたくない心理」は健全な心理でないと僕も思います。
これを受けて、「成功体験を素直に感じるためにどうするか?」を書きます。それは「自分は何をやりたいか?」ということを明確にすることだと思います。
やりたいことがあれば、成功体験を感じたくないということは起こらないと思います。成功体験が、やりたいことの実現につながっていくからだと思います。
一方、本音ではやりたくないと思っていることで成功体験を重ねても、自分が苦しくなるだけです。成功体験を重ねても、ますますやりたくないことを強いられることになり、精神的な負担、重圧に繋がります。
「自分は何がやりたいか」ということを見つけるということが、成功体験を素直に感じられるようになることではないかと思います。他人への期待に応えるためだけの成功は目指さないほうがいいですね。