この記事では、発達障害の診断を受けたdobbyが発達障害を周囲にカミングアウトすることについて、自身の経験を踏まえながら考えを書いていきます。
なお、この記事はあくまで、dobbyの経験・見解に基づいています。すべての事例に当てはまるわけではないということをご了承頂いた上で、一つの意見として参考にしていただければと思います。
僕の発達障害のカミングアウト
カミングアウト~休職
僕は今の職場には2021年3月末にカミングアウトしました。
あまりにも仕事のミスがひどく、当時担当していた相手の部署から自分の所属部署の上司にクレームが来たことが切っ掛けです。そのクレームに対し、上司から事情聴取があり、その際に発達障害があることを話しました。僕のひどい仕事ぶりについては、以前の記事も併せて見てください。
これを受けて、業務負荷の調整として、
- 一部業務の担当を外れる(後輩へ引き継ぎ)
- リーダークラスから担当者への降格
などの処置を受けました。
しかしながら、主要な業務については、代替する人間がいないことでそのまま残りました。この業務には僕が特に苦手にしていた「対人交渉」「意見調整」「ケアレスミス許されない計算」があり、それをこなさなければいけませんでした。
苦手な業務については、あまり配慮されず(業務量が少なくなるので、当然の処置なのですが。。。)フォローしてくれることも少なかったです。結局この業務負荷の調整でも状況は良くならず、休職に至りました。
休職以降
休職後2ヶ月たって、発達障害による困りごと配慮を求めて「発達障害のトリセツ」を提示しました。しかしながら、その反応はかなり悪いものです。
- 職場への要望は具体的に復職可能と主治医から診断がおりて初めて出すべきものであって、職場がこちらの体調が不明の段階で出すものではない。配慮が足りない。
- 「あなたに対する接し方が間違っていたのではないか?」という批判に取れる。
- 今後の自分の改善点も書いているが、過去から問題を放置しており、いまさら改善できるとは思えない。
という指摘を部長から受けています。
職場との関係については、下記記事も参照ください。
発達障害についての上司の見解
きちんと聞いたわけではないですが、発達障害は「治療をすれば困りごとは治るもの」や、「困りごとは個人で対処すること」という意識があるように思います。
さらに、発達障害の困りごとへの配慮が必要であれば、仕事量を大幅に落とさないとならないとも言われています。
周囲との業務負荷のバランスもあるので、腫れ物に触るような扱いになることが予想されます。
カミングアウトについての所感
上記の通り、僕の場合、発達障害のカミングアウトや配慮を求めた結果はあまり芳しいものではありません。しかし、個人的には、カミングアウトすることや配慮を求めること自体は間違っていないと思っています。
なぜなら、本人が言わないと周囲は困っていることに気づかないからです。
見た目は定型発達の人と発達障害の人は変わりありません。
そのことで、定型発達の人にとっては、発達障害の人の困りごとは理解しにくいです。
しかし、発達障害の人は能力の凹凸が激しいです。
特に、苦手なことは定型発達の人が出来る最低限のレベルに至らず、周囲の定型発達の人を困らせることになってしまいます。
行動を工夫することで独力で解決できればいいのですが、解決できないことについては、周囲に理解を求めるしかないと思います。
一方、株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所調べによると、約7割が職場でカミングアウトできていないようです。発達障害者がカミングアウト出来ない理由として、「どうせ理解してもらえない」 「仕事を続けられなくなりそう」という意見があります。
でも、この2つの理由については、僕は下記のように考えます。
「どうせ理解してもらえない」
カミングアウトしたからといって困りごとを理解してもらえない可能性は結構ありますが、カミングアウトしなければ困りごとを理解してもらえる可能性は0です。
「仕事を続けられなくなりそう」
確かにカミングアウトすると、周囲は必要以上の配慮をあなたが求めらているように感じ、対応が悪くなるかもしれません。
でも、困りごとを隠して一般就労で働き続けようとしても、結局困りごとがトラブルになって仕事が続けられなくなることも多いです。
発達障害でも順調に仕事ができていればカミングアウトする必要はないのですが、困りごとを抱えていれば、隠していても自分が苦しくなるだけなので、カミングアウトするほうがいいと思います。
僕のカミングアウトの反省
ただ、僕の場合は、配慮の求め方にかなり失敗しています。
結果、上記の通り、上司からは「できないことの言い訳しているだけ」「勝手なことを言っている」という認識をされてしまっています。
ここでは、僕が何を間違ったのか書いていきます。
発達障害を仕事ができないことの言い訳にした
発達障害のトリセツを見た産業医から「求める配慮に対して、自分が出来ることのアピールが少なすぎる。」と言われました。確かに配慮ばかり求めて、それがないから仕事ができないという意識を持っていました。
でも、「僕は、こういう困りごとがあるので、仕事は出来ません。」というのはご法度です。職場からは与えられた役割を遂行することが求められているのに、「出来ません。」と主張するだけの態度だと、そりゃ、周囲はいい感情を抱かないでしょう。
「こういう配慮をしてもらえれば、今まで与えられた職場の役割をこなすことができる。」 「今の職場の役割に沿った仕事は困りごとが悪さをして出来ませんが、別な仕事なら人よりも成果を出すことが出来る。」というように、自分が出来ることを最大限にアピールしたうえで、周囲への配慮や、代替の仕事を示すことが必要だと思います。
もし、「出来ること」が表現できない場合、仕事への意欲の低さ、責任回避など、発達障害以外の原因があると思います。
困りごとの説明がうまく出来ない。
職場との関係で書いたとおり、部長との面談の中で、休職中に出した発達障害のトリセツについて、 「あなたに対する接し方が間違っていたのではないか?」という批判に取れる。「自分の改善点を書いているが、過去から問題を放置していることと同一であり、いまさら改善できるとは思えない。」と指摘されました。
この点について、言いたいこともあったのですが、自分一人ではうまく伝えきれませんでした。
どう説明しても、言い訳しているだけにしか取られず、結局また黙り込んでしまいました。
「どうしようもない困りごと」「周囲への配慮を求める理由」の説明内容を、主治医、カウンセラーの方とよく相談してまとめていきましょう。
そして、自分の口で上司に説明できるように準備しましょう。
場合によっては、主治医からの診断書に配慮を求める意見も明記してもらうのも一つの方法です。
復職支援プログラムの一環でナビゲーションブックの作成があります。その機会を利用して、再度トライします。
まとめ ~職場に配慮は求めない、でも言ってみる~
以上で発達障害のカミングアウトについて、僕の経験、意見を公開しました。
- カミングアウト・配慮を求める事自体は必要
- 但し、慎重に配慮を求め、出来ることをきちんとアピールすること。
そして、もう一つ言っておきたいことがあります。
どんなにこちらが配慮を求めても、実際に配慮してもらえるかどうかは職場や周囲の人々次第です。こればかりは、周囲の人々の知識・価値観・感情があり、こちらがコントロールできることではないからです。
冷たい言い方になりますが、あなたが職場で働きたいのはあなたの都合であって、職場の都合ではありません。
職場があなたの困りごとを受け入れるかどうかは、職場があなたに期待する役割を果たせるかどうかを判断して、職場が決める話です。
もし、今の職場から理解されない場合は、異動を図ったり、退職して、自分にあった就労携帯を模索したほうがいいのではないかと思います。それが見つからない場合は、公的支援なども受けたほうがいいのではないかと思います。
カミングアウトすることで、安定した仕事を失うリスクが出てきます。
しかし、困りごとで仕事が立ち行かなくなっている場合、カミングアウトしなくても安定した仕事を失うリスクを抱えたままです。どっちにしてもリスクが有るのですから、カミングアウトしたほうがいいと思います。
そこまで理解し、どんな対応をされても自分の責任で受け入れる覚悟を決め、発達障害のカミングアウトをしてください。
最後に、カミングアウトについては、以下の記事も参照ください。