この記事では、発達障害グレーゾーンについて、僕が思っていることを書いていきます。
発達障害グレーゾーンとは?
発達障害の「グレーゾーン」は正式な名称ではなく、「発達障害の傾向があること」を表す一般用語です。
発達障害の症状と同じような症状を呈していても、診断基準を満たさないために発達障害として診断されない状態を指します。
発達障害グレーゾーンと愛着障害とトラウマとの関連
精神科医の岡田尊司さんの『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』という本を読みました。
この序章については、精神科医が教える、発達障害「グレーゾーン」とその“生きづらさ”への処方箋 |ビジネス+IT (sbbit.jp) も見ていただければと思います。その中で、発達障害グレーゾーンと愛着障害やトラウマの関連について、以下の記述があります。
グレーゾーンと呼ばれる状態には、発達障害の傾向をもつものの、幸運にも軽症であるケースももちろんあるが、愛着障害やトラウマにより生じた、発達障害に類似した状態が少なからず含まれているのである。
発達障害に至らない、グレーゾーンだからといって、困りごとや生きづらさが軽症とは限らないのです。あくまで発達障害としての傾向が軽微なだけであり、他の要因を突き止めて解決しないと困りごとや生きづらさはなかなか解消しないように思います。
発達障害グレーゾーンの弊害
発達障害のグレーゾーンの弊害について、医師の診断が下りない場合の弊害と、医師の診断が下りたとしても解決しないことがあるという弊害の2点について言及します。
医師の診断が下りないことの弊害
困りごとの表現が難しい
発達障害という診断が医師からおりていれば、困りごととなっていることの説明がし易いです。
「発達障害」という短い言葉を使うことで、少なくとも当人が大きな困りごとを抱えていることは伝わります。
発達障害の診断が下りていないと、困りごとをうまく伝えるのが難しいです。単なる性格の問題や怠けのように思われてしまい、周囲の理解が得られない可能性は大きくなります。
ただ、発達障害をアピールして配慮を求めるという態度は周囲に理解されません。それは誤解してほしくないところです。
障害者手帳の取得ができない
うつ病など、他の精神疾患があれば別ですが、発達障害の診断が医師から下りない以上、障害者手帳などの取得は出来ません。特に障害者雇用枠での就職を目指す場合は障害者手帳が必要になるので、都合が悪いことも出てくると思います。
障害者枠の雇用の件については、あまり僕は詳しくないのですが、定型発達者と同じ扱いになるように思います。グレーゾーンの状態では当事者が合理的な配慮を求めることは出来ても、必ずしも雇用する企業がそれに応える義務はないと思います。
医師の診断が下りても解決しない問題
薬物治療の効果がないことがある
僕は、ADHDの治療薬であるコンサータやストラテラの服用経験がありますが、下記記事の通り、ほとんど効きませんでした。
コンサータやストラテラが「脳内の情報処理や制御に偏りが生じている」ことを是正する薬だと思います。他の要因が絡んでいると薬物治療の効果はないことも考えられます。
コンサータにしてもストラテラにしても、服用を間違うと副作用のリスクがあります。
特にコンサータについては厳重な流通管理がなされているくらい、服用について慎重に判断しないといけない薬だと思います。
なので、効かないと思ったときには、医師と相談した上で、服用を辞めることも必要なのですが、薬が効くか効かないかの見極めはなかなか難しいです。
困りごとの解決に違うアプローチが必要
発達障害の特性に基づく困りごとの原因としては「脳内の情報処理や制御に偏りが生じている」ことが挙げられます。
ただ、愛着障害やトラウマなど、他の要因も絡んでいるとなれば、心理的な問題にもアプローチをかけていかないと解決しません。それ以前に、他の要因も絡んでいることに気がつくことが大変なのです。
発達障害の診断が下りたことで、他の要因に目がいかなくなりがちです。「治療はしているけどなかなか治らない」リスクが生じるように思います。
dobbyはどう思うか?
今までの記事について、更に自分の経験をもっと踏まえて、発達障害のグレーゾーンのことを書いていきます。
発達障害の診断について
僕は発達障害の診断を受けていますが、以下の記事の通り、最初は「発達障害とまでは言えない」と言われたことがあります。
特にウェクスラー式知能検査で導き出される、「言語理解」「知覚統合(知覚推理)」「作動記憶(ワーキングメモリ)」「処理速度」の四つの指数がいずれも平均以上であったのがその要因のようです。
「発達障害とまでは言えない」と言われた時には、「じゃあこの生きづらさはどう表現したらいいのだろう?」と思い、困ってしまいました。
そして、2021年に今の病院で「発達障害の傾向がある」という診断を受けているのですが、その診断をうけても「自分は本当に発達障害なのだろうか?」と思うこともあり、戸惑いは今でもあります。
発達障害の困りごとについて
先に書いた通り、「発達障害」という診断はそれだけインパクトが有り、困りごとを表現するのに一番都合がいいです。
ただ、発達障害というだけで、困りごとの全部の原因が解決するわけではないと思いました。自分には当てはまる困りごとも当然多いのですが、当てはまらない困りごともあります。
例えば、ADHDの人は多動という特性を生かして、自主的に動き回る営業職や、閃きや企画力、行動力が求められる起業家などの適性があると言われます。
しかし、僕は下記の通り逆にいろんなことに尻込みし、回避の特性が強いので、営業職や起業家にも向くとは思えないのです。
そうなると、発達障害の困りごととは別に、回避の特性をどうするかということも必要になります。
そして、発達障害の特性を強みにするというマインドセットも必要になりますが、それを阻害するものも当然あります。阻害要因を取っていくことも必要になってくると思います。
愛着やトラウマについて
子供の頃を振り返ると、たしかに親は厳格だったと思います。
父親から何時間も説教を受けていたこともありますし、母親からもいろいろと怒られていました。
怒られているときはただただ黙っているしかなかったように思います。何を言っても怒られるのではないかと思い、自分の思っていることを一切言わなかった記憶が残っています。
そして、自分から思っていることを言いたくないので、父親にしても母親にしても、言わなくても察してほしいと思うようになりました。
そういうことが愛着やトラウマにつながっているのかもしれません。最近のカウンセラーさんの話題はトラウマになっています。
まとめ ~「何に困っているのか?」を理解する~
以上で、発達障害グレーゾーンということについて、自分が思うことを書いていきました。まとめると、
- 発達障害のグレーゾーンは診断基準を満たさないために発達障害として診断されない状態であり、決して症状が軽いということではない。
- 発達障害の診断が下りても、それで困りごとのすべてが解決するわけではない。診断が下りてもグレーゾーンの可能性も考えられる。
ということになります。
そのため、発達障害の診断が下りたとしても、そうでないにしても、「自分が抱えている困りごとを整理する。」ということがまず重要になります。
結局発達障害であろうが、愛着やトラウマなどの他の要因があろうが、その要因そのものを言っても周囲には伝わりません。「結局、何をすればあなたは助かるの?」で終わってしまい、その先に進みません。
自分がどのようなことで困っているのか、どんな配慮をしてもらえたら助かるのか、それをはっきりすることが必要だと思います。
そのために、医師やカウンセラーの専門の方の助けを得るようにしましょう。そして、困りごとを理解し、解決にはすごく時間がかかります。根気強く取り組むことが大事なのかなと思います。