この記事では、発達障害の診断を受け、メンタルヘルスの不調で休職中のdobbyが、発達障害のあるあると、それに関わるライフハックを考えた記事になります。
今回は片付けの習慣化についてです。
僕は、子供の頃から片付けが苦手でした。常に机にはプリントや本などが散らかり放題、TVの前に行けば、ファミコンに配線が絡まり放題でした。それは、大学入学を機に寮生活を送っても自分のスペースは散らかり放題で、同じ部屋の人は大変迷惑していたと思います。一人暮らしをするようになるとさらにひどくなって、下のようなイメージの部屋が出来上がっていきました。
社会人になると、なぜか少し改善しました。ただ、生活が乱れてくるとやっぱり部屋が散らかってくるようになり、休職前はやっぱり汚部屋になっていきました。ただ、最近、色々と片付けにトライしてみて、部屋が少しきれいになってきたので、ライフハックとして取り上げたいと思いました。
片付けが苦手な理由
僕のような発達障害の特性がある人は、片付けが苦手であるという傾向があります。片付けが苦手になってしまう要因については、以下のことが考えられます。
片付けが面倒くさい
発達障害の特性が持っている人は「今日は面倒だから、また後で片付けよう。」と思う傾向にあります。さらにひどくなると、「落ちているゴミを捨てる」ことすら面倒です。その結果、床や机の上などあらゆるところがゴミだらけになって、片付けがさらに面倒になります。
片付けに集中できない
例えば「今日こそ片付けをしよう!」と思って始めたのは良いものの、面白い本が発掘されると読み始めて、いつの間にか片付けることを忘れてしまうことがあります。それは、発達障害の特性の一つである衝動性が働き、別のことに注意が向いてしまうからだと思います。
片付け方がわからない
「使ってないけど、使うかもしれないし判断がつかない。」ということも片付けをするうえでハードルになってしまいます。この現象も発達障害の特性、特に「不注意」というところが影響していると思います。
あまり考えずに「必要ない」と思い込んで捨ててしまうと、あとあと困り事になるということが怖くなるのです。その結果、「捨てる」決断が出来なくなります。
片付けを楽に行う方法
僕は、冒頭で説明した通り、汚部屋になりがちだった自分の部屋を休職中に少しずつきれいにしていきました。汚いところはまだまだ汚いのですが、少なくとも自分の定位置についてはモノが少なくなっています。僕が部屋をきれいにしていく中で行ってきたことについて、いくつか紹介します。
ゴミ箱をいっぱい置く
まず、提唱するのは「ゴミ箱をいっぱい置く。」です。
上記の例の通り、発達障害の特性を持っている人は、「落ちているゴミを捨てる。」ということすら面倒な作業です。ゴミ箱の数が少ないと、立ち上がって、ゴミ箱まで移動して、ゴミを捨てる行動をしなければなりませんが、その行動すら面倒くさいです。1回は出来ても、1日に何度も繰り返すことになると、そのうち、サボります。
そのため、部屋中にゴミ箱を置いて、立ち上がったり、移動したりしなくてもゴミを捨てることが出来るということが必要になります。部屋のいたるところにゴミ箱を置き、移動の手間を減らすことでようやく「ゴミが目に入ったら捨てる行動をとることが出来る。」ようになります。
参考例として、僕の家で説明します。僕の家のゴミ箱フォーメーションは以下のとおりです。
- パソコン机の下に小さなゴミ箱が1つ。
- 洗面所に小さなゴミ箱が1つ。
- リビングに大きなゴミ箱が1つ。
- 台所に大きなゴミ箱が1つ。
- 資源ごみ(ペットボトル・缶・ビン)用として台所に大きなゴミ箱が3つ。
全部で7個設置しています。一人暮らしにしては多いほうだと思います。でも、これだけ置いておかないと、やっぱり面倒くさくなってしまうと思います。
手元の小さなゴミ箱がいっぱいになったら、大きなゴミ箱にゴミを移します。これだけでもゴミを捨てるための行動のハードルはかなり下がります。
捨てないものは、保管場所を決めてぶっこむ
ゴミの問題については、ゴミ箱を多く置くことで解決します。そうなると、次に「必要なものをどこに保管するか?」が課題になります。
僕がそうなのですが、必要なものを床に無造作に放置しているしまいます。そうなると、いざ必要になった時に、見つかりにくくなってしまいます。なので、まず、床に無造作に置くことを止めましょう。 そして、保管する場所を決めましょう。
保管場所の決め方ですが、用途別にまとめておけるように場所を決めましょう。蓋のない箱をいくつか準備して、保管場所にするのが効果的です。
ここでも僕の例なのですが、僕のパソコン机周りに、いくつか箱を置いて保管場所を作りました。そして、用途別にまとめておくものを決めています。
- パソコン机の上に小さな箱を3つ置く。
大きめの箱:外出に使うもの(財布・社員証・イヤホンなど)
小さめの箱:家で使うもの(爪切り・体温計・メガネ拭きなど)
書類箱 :公共料金請求書・申請書などの書類 - パソコン机の上に電源タップを設置
携帯電話・ICレコーダー・充電器の充電と保管を兼ねる。 - 脇机の引き出し部分はリモコンスペース
- 脇机の下はゴミ箱とティッシュの設置スペース
- 脇机の横に大きな箱を2つ置く
一つは外出用・パソコン用のカバン入れ、もう一つは部屋着・ランニング用リュックやマスク入れとして活用。
というように、箱を使ったり、空きスペースを使いながらいろいろなものの保管場所を決めていきました。
保管場所を決める際には、自分の手の届く範囲、動かなくても見える位置に置き場を決めるということが重要です。ものの取り出し、片付けが楽に出来ます。
そして、何を保管するかということも重要です。できるだけ同じタイミングで使うものをひとまとめにするように保管場所を決めておきましょう。出かける時に慌てることが無くなります。
この2つが決まったら、あとはとりあえずぶっこんでおけばいいです。自分の家なので見た目は気にする必要はありません。どこに何があるかわかって、動かなくても見通せればそれでOKです。
最後に保管場所を決めたら張り紙、付箋、ホワイトボードを活用して記録しておきましょう。別の記事で紹介している「ホワイトボード作戦」は片付けの際にも効果を発揮します。
何も置かない机を一つ設置
発達障害の特性を持っている人はいろんなところにいろんなものを置きがちです。気をつけていないと、すぐにモノでいっぱいになります。
そのような状態になってしまうと、何か書き物をしたり、作業をする時に置きっぱなしのモノが邪魔になります。そして、そのモノを片付けるのが面倒くさくなり、作業自体やる気がなくなってしまうことがあります。
対策としては何も置かない机を一つ設置することです。そして他の場所はモノであふれてもいいから、ここだけは何も置かないように、意思を持って管理することです。何も置かない机があるだけで、何か落ち着きます。そして、作業スペースの確保として一番有効な方法です。全部をきれいにするわけではなく、限定された箇所だけを何も置かないようにするのは、案外ハードルが低いように思います。
毎日少しずつ、時間を決めて片付ける
一旦床にモノを散らかしてしまうと、片付けるのは大変です。特に一気に散らかる前のきれいな状態に戻すのは大変なハードルが高い行動です。「面倒くささ」を軽視した無謀な行動と言ってもいいかも知れません。
一旦散らかってしまったら、毎日少しずつでも時間を決めて片付ける、そしてゆっくり散らかる前の状態に戻すほうが、効果的だと思います。
僕は夜風呂上がりの15分を片付けに集中すると決めました。15分が無理なら10分でも5分でも3分でも構いません。
少しの時間と思って行動し始めると、自然といろいろなところを片付けたくなります。これは別の記事で紹介した「スモールステップ」や「人間のやる気スイッチ」の応用でもあります。
「捨てられない」ことの対策
上記の通り、発達障害の特性があると、何が必要で何が必要でないかわからなくなりがちです。そして、もっと怖いのは、本当は必要なのに、不注意や思い込みで「必要ない」と判断して、捨ててしまうことです。
その対策は正直むずかしいのですが、僕は以下の3つのことをしています。
- 書類やモノを「必要」「不要」「不明(判断がつかない)」の3つに分類する。
- 「不要」は捨てる、「不明(判断がつかない)」はとりあえず持っておく。
- 定期的に(週一で10分とか、月一で1時間とか)「必要」「不要」「不明」の分類を繰り返す。
不注意や思い込みで「必要ない」と判断してしまうことについては、「不明」というグレーゾーンを設けることが対策です。そして、分類をくり返し行い、「やっぱり必要ない」と思うことで捨てられるようになると思います。
また、「本当に必要ない」のに捨てずに持っておくということも発達障害の人の特性だと思います。それは「必要かどうか」をチェックして判断するのが面倒だからだと思います。定期的に片付けの時間を確保して「不要」と思ったものは捨てましょう。
まとめ ~片付けた後のメリットを感じよう~
以上で発達障害の人の片付けについて書いていきました。まとめると、
- 発達障害の特性が悪さをして片付けが苦手になる。
- 片付ける対策としては、「ゴミ箱を置く」「置き場を決める」「空き机を置く」などで、面倒臭さを減らしていく。
- 片付けは一気にやるのではなく、時間を決めて少しずつ行う。
- 捨てる、捨てないの判断は、不明というグレーゾーンを設けることで誤って捨てるリスクを減らす。
ということになります。
僕が上記のことをして、部屋の片付けを行ったことで、以下のメリットを感じるようになりました。
- 運動場所の確保が簡単になった。
- モノを探す手間が少なくなった。
- ルンバをかけられるようになり、掃除の負担が減った。
- モノが少なくなって、落ち着いた気分で過ごすことが出来るようになった。
この状態がいつまで続くかというのも、発達障害の特性持ちの僕には自信がありません。特に、復職してストレスがたまってくると、こういった習慣化が崩れてしまいそうな気がします。
しかし、「毎日時間を決めて片付ける」ことを習慣化していれば、何とか維持そうな気がします。そして、片付けた後のメリットを享受していますので、この状態を維持していきたいと思っています。
最後になりますが、片付けの様々なヒントは、借金玉さんの『発達障害サバイバルガイド』を参考にしてアレンジしました。
発達障害者の片付けについては、書籍も記事も多くありますので、ヒントになるようなことが見つかれば幸いです。