この記事では、発達障害の診断を受け、メンタルヘルスの不調で休職中のdobbyが発達障害とパーソナリティ障害の相関性について、自分のことも踏まえて考察し、どのように治療していったら良いのか考える記事になります。
なお、この記事はあくまで、dobbyの経験・見解に基づいています。すべての事例に当てはまるわけではないということをご了承頂いた上で、一つの例として参考にしていただければと思います。
発達障害とパーソナリティ障害の相関
発達障害だとパーソナリティ障害(人格障害)になりやすい? | NPO法人ギブキッズザドリーム (givekidsthedream.or.jp) などの記事をはじめとして、いろいろな記事で発達障害の特性を持つ人はパーソナリティ障害の発症リスクが高くなると指摘されています。
発達障害にみられる、強いこだわりや衝動性・感情コントロールが苦手などの特性は、パーソナリティ障害で見られる性格の偏りと似通っていることが多いとのことです。発達障害をうまく克服できない場合にパーソナリティ障害を併発してしまうという指摘があります。
また、精神科医の岡田尊司さんの著書「生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害」の中では、回避性パーソナリティ障害と発達障害の一種である自閉症スペクトラム(ASD)との相関について、以下のことが書かれています。
経験的に言って、成人例の自閉症スペクトラムのケースの三分の二くらいに、程度の差はあるものの、回避性の傾向が認められるように思う。
一般人口よりも、その頻度はかなり高く、自閉症スペクトラムがあると、二次的に回避性の傾向を呈しやすいと考えられる。
過敏で不安が強い傾向に加えて、場の状況や相手の気持ちが読み取れず、とんちんかんなことをして、責められたり笑われたり、拒絶されたりといったネガティブな経験をしやすいことも、要因になっていると考えられる。
引用元:岡田尊司「生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害」
以上の2つの見解から、発達障害の特性を持つ人はパーソナリティ障害を発生しやすいということがわかります。
そして、発達障害が「『脳の各部位の機能や神経伝達回路がうまく機能していないことによる障害』という先天的なものである。」こと、パーソナリティ障害は、「遺伝的な要因も考えられるものの、生育環境・家族関係や社会の価値観、自身の経験も大きく関わってくるため、後天的な要素が大きい。」ことから、発達障害の特性が原因となってパーソナリティ障害に見られる性格の偏りを引き起こしているという因果関係になります。
ただ、発達障害の特性の何がパーソナリティ障害を引き起こしているのかはわかっていません。
すなわち、「発達障害の特性そのものがパーソナリティ障害の性格の偏りなのか?」、それとも「発達障害の特性に起因する失敗体験やネガティブ体験によって、パーソナリティ障害の性格の偏りを生じやすくさせるのか?」ということはわかっていないようです。というより、両方の要因が混じりあっているような気がします。
両方の要因が混じりあっているということは、治療のアプローチとして、どちらにまず働きかけるのか?すなわち、
- 発達障害の特性そのものに働きかける。
→例:日常生活や仕事での対処法を考えて、特性を目立たなくする。 - パーソナリティ障害の性格の偏りを緩和する。
→例:失敗体験やネガティブ体験の捉え方を変えるなど、心の
レジリエンスを身につける。
のどちらを取るのかは、ケースバイケースだと思います。
dobbyの事例
自己紹介をはじめ、いろいろなところで言及しているのですが、僕には、
- 「発達障害の傾向が認められる」診断が主治医よりなされている
- 回避性パーソナリティ障害を自認している
(主治医の診断はなく、カウンセラーとの話の中で出てきている。)
という特性があります。
また、他のパーソナリティについても、そこまでの傾向はないかもしれないのですが、 不安感が強くなったり、かまってちゃんになったり、やたら注目を集めようとしたりと、 いろいろと「自分の感情をコントロールしにくい」という自覚があります。
職場において「周囲を困らせたりしている」という指摘があるのも事実です。
ただ、僕の場合も、発達障害の特性の何が悪さをしてパーソナリティ障害の性格の偏りが生じているのかわかりません。パーソナリティ障害の性格の偏りをどうにかすれば良いのか、それとも発達障害の特性そのものに手を付けていくのがいいか、まだわからない状態です。
まとめ ~併発の場合、どちらを治す?~
発達障害とパーソナリティ障害の相関について、僕の事例も含め書きました。
まとめると、
- 発達障害とパーソナリティ障害は併発しやすい。
- 発達障害が引き金となってパーソナリティ障害が引き起こされる。
- ただ、発達障害の特性そのものがパーソナリティ障害の性格の偏りなのか、ネガティブ体験によって性格の偏りが引き起こされるのかは、明確になっていない。
ということになります。
それで、この記事を見ていただいた方の中には、「じゃあ、発達障害とパーソナリティ障害のどちらを直せばいいの?」と思われるかもしれません。
先にいうと、以前の記事で言及しましたが、発達障害の脳機能の障害そのものに働きかけて治す手法は確立されていません。
したがって、発達障害そのものを直して、パーソナリティ障害の性格の偏りを消してしまうということも出来ません。
そのため、発達障害の特性、パーソナリティ障害の性格の偏りを心理療法によって緩和していく方法が一般的となります。
そして、発達障害の特性そのものに働きかけるのか、ネガティブ体験を捉え直すことでパーソナリティ障害の性格の偏りの緩和を図るのか、その方法は人それぞれです。
方法は人それぞれということは、自分に合った方法を自分で考えるということになります。そのためには、まず困りごとの整理を一番先にやりましょう。それから、困りごとの影響度・内容を整理し、直したい困りごとの優先順位づけを、周囲の専門家の方々と話をしながら行いましょう。
困りごとの整理、優先順位付け、緩和にあたっては、下記の記事の通り、主治医だと時間が限られるため、カウンセラーの方と時間をかけて相談していくのがおすすめです。
発達障害の特性を緩和するのか、パーソナリティ障害の性格の偏りを矯正していくのかは人それぞれですので、特性や困りごとときちんと向き合いながら、いろいろな人の手を借りつつ、どこから手を付けるか自分で決めましょう。
そして、一気に全部治そうとはせず、少しずつ変わっていくようにしましょう。