この記事は、書籍紹介となります。
今回紹介させていただくのは、精神科医の井上智介さんの『この会社ムリと思いながら辞められないあなたへ』という本になります。
著者紹介
精神科医 井上智介オフィシャルブログ「たたかう産業医!」Powered by Ameba (ameblo.jp)のプロフィールによりますと、下記の事柄が書かれています。
- 産業医・精神科医・健診医として大阪で活動中。
- 島根大学医学部を卒業後、産業医・精神科医・健診医の3 つの役割を中心に活動。
・産業医としては毎月約40社を訪問
・精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を
未然に防ぐべく活動中。
・精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務。
うつ病、発達障害などを中心に、精神科疾患全般に対応。
・今後、予防医療がさらに発展する時代へとシフトすることを
想定し、健診医としても重大疾患の予防にも取り組む。 - 全ての人に「大ざっぱ(rough)」に、「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから「ラフドクター」と名乗り、ブログやSNSや講演会などで、心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信。
あと、写真で分かるのですが、金髪のアフロのかつらを被っています。医者という固いイメージを少しでも払拭して、相談しやすさ、親しみやすさを全面に打ち出しているように思います。
この本の他にも。職場でのメンタルヘルス不調に関わる困りごと、それに対してどのように心をラクにしていくかという内容を中心にした著書が複数あります。僕も何冊か読んで、参考になるところも多かったので、機会を見つけて紹介させていただきます。
読むきっかけ
僕がこの本を手にとったのは休職初期の2021年9月の終わり頃です。
休職に入るときに、上司からいろいろと文句なり愚痴なり言われて、休職に対する罪悪感を抱いている時期でした。この時の経緯は下記参照ください。
主治医の診察前の空き時間にふらっと書店に立ち寄り、何冊かの本を買ったのですが、そのうちの1冊ということになります。
別にこの本を買おうと決めていたわけではなく、単に『この会社ムリ』という言葉に惹かれましたw
章立てと内容
この本の章立てと内容は以下のとおりです。
- 1章 あなたが苦しいのは「もう限界」まで頑張っているから
→「ネガティブ思考」「職場の威圧感」「仕事の神聖化」など、
「もう限界」というところまであなたが頑張ってしまうことの
原因について解説。 - 2章 「心の危険サインだ」と思ったときの対処法
→「もう限界」まで頑張っているときに出てくる危険サインの
うち、考え方の偏り、不安定になる精神状態などの「心」から
出るサインについての解説。 - 3章 「体の危険サインだ」と思ったときの対処法
→「もう限界」まで頑張っているときに出てくる危険サインの
うち、疲労や不眠、体調の悪化など「体」から出るサインに
ついての解説。 - 4章 「でも辞められない」思い込みから解放された人たち
→「もう限界」を通り越して「もう頑張れない」が、「会社を
辞められない」と思い込んでいた人が、休職し会社を辞めた
過程とその後の人生について、事例を3つ紹介して解説。 - 5章 「もう頑張れない」人の休み方
→休職中の過ごし方、転職活動などの解説。 - 6章 「この会社ムリだから辞める!」ときに知っておきたいこと →会社をやめるときに必要な確認事項や金銭面、人間関係面など
会社をやめるときの懸案事項への対応策、そして、会社を辞め
なかったことで失うものについて解説。
読書感想
良かった点
この本を読むまでは、休職に対する罪悪感が強かったです。
しかしながら、この本を読んで、自分が休職したということは、「もう限界まで頑張って、もう頑張れなくなっている」から仕方がない判断だったというふうに思えるようになりました。
特に「心の危険サイン」として著者があげている、「上司が怖い」「仕事が終わらない」「相談ができない」などの事柄は僕にも当てはまっていました。そのことで、自分が本当に追い詰められていたのだということを認識しました。
「心の危険サイン」「体の危険サイン」が実際にあっても、「会社を休めない」「会社をやめられない」と思うと、自分がそれを無視してまで、働こう、頑張ろうとしてしまいます。
そして、休職して退職した人の事例(特に管理職になったことでメンタルヘルスが不調になった40代男性の例が自分には参考になりました。)や休職中の過ごし方などを見ることで、休職することの不安が軽くなりました。
最後に「この会社ムリだと思っても辞められない」ことで失うものがあることも理解できたので良かったと思います。
辞められないことで失うものの中にはお金もあります。確かに僕はかなりいい給料を頂いていることはあるのですが、ストレス発散のために刹那的な快楽を享受することで散財することが多かったと今は思います。
考慮すべき点
この本を読むにあたって考慮すること、それは「この会社ムリ」と思っていても、それだけで全面的に会社をやめることを推奨しているわけではないということです。著者もあとがきで「本当は会社をやめないほうがいい人」として2つあげています。
- 一時の否定的な感情で会社を辞めようとしている人
- 今の仕事にやりたいことがある人
①ですが、メンタルヘルスの不調に陥っている方は否定的な感情に苛まれたり、焦りを感じたりします。そうしたときに会社を辞めるという判断をすることは良くないとされています。著者も「一度冷静になって、自分の状況を考えるべき」と書いています。
②ですが、著者は、多くの働く人が「やりたいことがない。」と考えている中で、「やりたい仕事」によって充実感、達成感を得られている人は少数であることを述べ、「やりたいことがある人は会社を辞めないほうがいい」と書いています。(もちろん、労働環境が過酷であれば、その状況から脱したほうがいいのは言うまでもないことですが。)
なので、この本を読むにあたっては、自分が「本当は会社をやめないほうがいい人」に該当するのかどうか、十分に考える必要はあると思います。
僕は復職するつもりでいるのですが、まだ考え中です。
まとめ
以上で、「この会社ムリと思いながら辞められないあなたへ」の内容と僕の読書感想の紹介をさせていただきました。
下記に一つでも該当すれば、この本は読んでいただきたいなと思います。
- 会社での仕事、人間関係がつらい。
- 思うように仕事がこなせず、困っている。
- 頑張りすぎて体調を崩してしまった。
- 現在休職中である。
- 精神的に辛くて会社をやめたいと思っている。
頑張りすぎているんだけど「休めない」「やめられない」と考えてしまう人に、「今は休んでいいんだ。」「会社を辞めたら人生終わりということはないんだ。」など、選択肢を与えてくれる、素晴らしい本です。
でも、その選択肢を実際に選択するかどうか、判断、決断するのは自分です。繰り返しになりますが、「自分の健康と幸せ。」を優先して、多くの選択肢の中から、自分が進む道を選択していただきたいです。
僕も、できるだけゆっくり考え、自信のある選択肢を選んでいきます。