メンタルヘルス

ペルソナ

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 ここでは、心理学におけるペルソナ、すなわち人間が社会を生きていく中で作って見せている人格について、僕の考えたことを書いていきます。

心理学におけるペルソナの定義

 心理学における「ペルソナ」とはカール・グスタフ・ユングが生み出した、「人間の外的側面」を意味する概念です。

 例えば、会社では「真面目に働く社員」として振る舞い、友達の前では「明るくて楽しい友人」として接していると思います。このように、時と場合によって、周囲に見せる自分の姿を使い分けていることを指します。

 ペルソナという言葉は、もともと古典劇において役者が用いた仮面のことを指していました。周囲に見せる姿を使い分けることが、役者が劇中の役割を演じることに通ずると思います。

ペルソナと真逆のシャドウ

 また、ペルソナとは真逆の「普段は抑えこんでいる一面」を示す概念としてシャドウというものがあります。

 例えば、「真面目に働く社員」を振る舞うあなたが、会社でサボっている人を見たとします。この時に「僕もサボりたい」と考えているのなら、それがシャドウになります。

 ユング心理学では、人間は必ず表の性質と正反対の性質を備えていると考えられています。真面目な自分を見せている場合、どんなときでも真面目だからということではなく、不真面目な自分を外に出さないようにしているということになります。

ペルソナをつける理由

 人間はあらゆる人間関係を維持し、社会の中で生きていくために、ペルソナをつけています。

 会社など真面目な人格が必要な場面ではそういう振る舞いが必要ですので、不真面目な自分を見せないようにします。

 逆に友人との会話の中では真面目な人格が堅苦しさをあたえてしまい、その場の雰囲気にそぐわないこともあります。そういうときには会社でつけているものとは別な仮面をつけることになります。

 もし、仮面をつけず自分の本音をぶつけてしまうと、おそらく人間関係が成り立たなくなります。会社でさぼりまくっていたら、懲戒ものですし、不真面目な会話で盛り上がる友人の会話で「こうあるべき」という論理をふりかざすと友達は煙たがられるでしょう。

 こうして、時と場合によっていろいろな仮面を付け替えることで、人間関係を良好に保ち、いろいろなメリットを得ることができることになります。

ペルソナをつけることのしんどさ

 このように社会の中でいきていくために必要なペルソナですが、これをつけ続けているとしんどくなることがあります。

 特に、誰にも見せたくないシャドウがある場合、常にペルソナをつけていないと社会で生きられないように感じてしまいます。自分の本音がどこにも出せなくなり、苦しくなります。

 さらに、誰にも見せたくないという理由が、「自分も嫌悪感を感じる」ということになると、すごく苦しみます。一人になっても嫌悪感を感じる部分を見ないように、仮面をつけて隠してしまいます。 もしくは、その部分に対して「お前はだめ」と言って攻撃してしまいます。

 または、自分にとっては開示したいことであっても、他人が嫌悪感を感じると予想できたときも、ペルソナをつけて隠してしまいがちです。

 「他人が嫌悪感を感じる→自分の人間関係、評価を失う→メリットが得られなくなる。」と考えるようになり、開示したい自分の欲求を抑え込んでしまいます。

 メリットを得るために渋々ペルソナを被ってしまうと、自分が他者を騙しているような気がして、気分が悪くなってしまいます。

ペルソナと褒められたくない心理

 このような形で、ペルソナをつけている自分が苦しくなると、人から褒められていても嬉しいと感じなくなります。褒められても嬉しくない心理については以下の記事も参照ください。

褒められて嬉しくない心理  この記事ではメンタルヘルスの不調で休職中の自分が、「褒められて嬉しくない心理」について考えます。   自分はあまり褒められても...

 あくまで褒められているのは、「ペルソナをかぶって抑圧した外向きの自分」と感じることがあります。素の自分が受け入れられているわけではないので、褒められたくないと感じます。

 そして、もしペルソナが壊れて、素の自分が出てしまったら、誰からも嫌われるのではないかと思って、怖くなります。そのような怖さもあり、ますます褒められたくないと感じてしまいます。

まとめ ~常に抑圧している部分を作らない~

 以上で、ペルソナについて感じたことをまとめました。まとめると、

  • ペルソナは社会で生きていくために人に見せる部分
  • 人に見せないシャドウも存在する
  • ペルソナをつけることで、あらゆる人間関係を維持している。
  • ペルソナをつけることで抑圧している自分を感じ、苦しくなることがある。

 ということになります。

 一般的にはペルソナがあったほうがいいと言われています。そして、いくつもペルソナを持っておいて、場面に応じて付け替えるのがいいとされています。

 たとえば、会社にいるときの私が落ち込んでいても、パートナーと一緒にいる私の時に、落ち込んでいる自分を見せることで精神のバランスが保てます。

 落ち込んでいることを受け入れるだけの心の余裕を確保できるからです。

 ただ、パートナーと一緒にいる私、家族といるときの私、場合によっては一人でいるときの私が「会社にいるときの私が落ち込んでいる」ことを必死に隠していたら、吐き出すところがなくなってつらくなってしまいます。いつまでも自分を責めてしまうことに繋がります。

 もし、すべてのペルソナによって抑圧しているシャドウがあるとしたら、信頼できる人にシャドウを打ち明けてみたほうがいいと思います。

 それは心の闇の部分なので、あなたのことを全面的に受け入れてくれる人が周囲いれば一番いいのですが、場合によってはカウンセラーとか専門の方を頼ってみてもいいかもしれません。

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