アドラー心理学

アドラー心理学考察⑦ ~共同体感覚 その②~

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ

 この記事では、アドラー心理学を紹介した『嫌われる勇気』の内容から僕が印象に残ったことについて、その考えを書いていきたいと思います。ここで紹介するのは「共同体感覚」です。

 以下記事で共同体感覚がどういうものであるか書いていますが、ここでは、共同体感覚の身につけるために必要な概念を取り上げます。

アドラー心理学考察⑥ ~共同体感覚 その①~  この記事では、アドラー心理学を紹介した『嫌われる勇気』の内容から僕が印象に残ったことについて、その考えを書いていきたいと思います。こ...

共同体感覚を身につけるのに必要な3つの概念

自己受容

 自己受容は、自身のポジティブな面、ネガティブな面含め、「ありのままの自分を受け入れる」ことになります。 

 似たような概念に自己肯定がありますが、自己肯定は「出来もしないのに『自分は出来る』と暗示をかける。」行為であり、自己受容とは違います。

 自己受容は言い換えると「自分が努力して変えられることと、努力しても変えられないことを見極める。」ということになります。課題の分離を行い、見極めることになります。

アドラー心理学考察⑤ ~課題の分離~  この記事では、アドラー心理学を紹介した『嫌われる勇気』の内容から僕が印象に残ったことについて、その考えを書いていきたいと思います。こ...

 ただ、これだけで自己受容は終わりかというとそうではありません。

  • 努力しても変えられないこと
     →その状況をそのまま受け入れる。
  • 努力すれば変えられること
     →できるようになるための優越性の追求を不断なく行う。 

 つまり、自己受容は「ずっと出来なくてもいい」「ずっとこのままでいい」と自分を甘やかすことではないということです。変える努力を怠ってしまうと、劣等感をこじらせて状況を悪くするだけのように感じます。優越性の追求や劣等感については、下記記事も参照ください。

アドラー心理学考察④ ~劣等感と優越性の追求~  この記事では、アドラー心理学を紹介した『嫌われる勇気』の内容から僕が印象に残ったことについて、どのように解釈したかを書いていきます。...

他者信頼

 他者信頼は、読んで字のごとくです。他者を信頼するということです。

 アドラー心理学では相手のことを条件付きで「信用」する関係ではなく、相手のことを条件なく「信頼」する関係を築くことになります。 

 もし、他者のことを信頼しなかった場合、他者に対して懐疑心を持つことになります。
 懐疑心を持ったままの関係だと相手もそれがわかりますので、深い人間関係を築くことができなくなります。

 共同体感覚は「他者を仲間だとみなす」とあるのですが、懐疑心をもったままだと他者を仲間だとは思えません。 

 人生の3つのタスクの面から考察すると、仕事のタスクは「信用」する関係なので築くことが出来ても、交友、愛のタスクは構築することが出来ないことになります。すなわち他者を信頼することが出来ないと孤独になると思います。

他者貢献

 共同体感覚の中にある「所属感」を得るためには、他者貢献、すなわち「他者に対して何らかの働きかけをしていくこと」が必要になります。
 
 ただ、ここでいう他者貢献は、「他者のために自分が犠牲になること」ではなく、「わたしが他者に何を出来るのか考え、実践することで誰かの役に立っていることを実感する」ということです。

 下記記事でも取り上げていますが、「自己犠牲」は「他者の期待を満たす」だけの行為です。

アドラー心理学考察③ ~承認欲求の否定~  この記事では、アドラー心理学を紹介した『嫌われる勇気』の内容から僕が印象に残ったことについて、その考えを書いていきたいと思います。こ...

 他者の期待を満たすためだけの自己犠牲の場合、主体は他者にありますが、わたしが出来ることを起点にする他者貢献の場合、主体は自分にあります。

 そして、自己犠牲の根底にあるのは「本当はやりたくない」であり、それは他者を「敵」としてみなすライフスタイルだと思います。

 「本当はやりたくない」という思いがある限り、仲間である他者に貢献する実感は得られないでしょう。それは、貢献している行動を「偽善」と認識してしまうことにも繋がります。

 一方、他者貢献の根底にあるのは「本当に役に立ちたい」であり、他者を「仲間」と認識するライフスタイルに思います。

 自分が心からやりたい行動をして、他者に貢献したと感じる行動を取っているうちは、少なくとも自分が「偽善」と感じることはないでしょう。
 
 『嫌われる勇気』の中では、「幸せとは『幸福感』である。」という記述が出てきます。
それは、他者貢献をしている自分を感じることなのだろうと思います。

アドラー心理学の目標と共同体感覚

 僕のブログで何度も出てきているアドラー心理学の目標と共同体感覚の結びつきについても言及します。

アドラー心理学の目標
  • 人生面での行動目標
     ①自立すること
     ②社会と調和して暮らせること
  • 行動を支える心理的目標
     ③私には能力があるという意識
     ④人々は私の仲間であるという意識
①と③は自己受容に関すること 

 ①の自立については、アドラー心理学では自己決定性、すなわち「自分のすべての行動は自分自身で決めることができる。」ことを指していると思います。

 自分のことを決められるためには、「自分で変えられること、自分で変えられないことを知る」ことが必要になります。その出発点が自己受容です。

 また、「自分で変えられること」を知ることで、「わたしには能力がある」という意識を持つことが出来るようになります。これも自己受容に繋がります。

②と④は他者信頼に関すること 

 社会と調和して暮らすためには他者を無条件に信頼していくことが必要です。
 そして他者を無条件に信頼していくために、「人々はわたしの仲間である」という意識が必要になります。

他者貢献は①~④全てに関連

 自分には能力があること、そして、他者を無条件に信頼することで、行動に踏み出せるようになります。行動することで他者貢献を感じるようになると思います。  

まとめ ~僕はどうするか?~

以上で共同体感覚を身につけるのに必要な3つの概念を紹介しました。まとめると、

  • 自己受容:ありのままを受け入れること
  • 他者信頼:他者を無条件に信頼すること
  • 他者貢献:本当に役に立ちたいと思って、自発的な行動をすること
  • アドラー心理学の目標は共同体感覚と密接に関わること

になります。

 僕の場合、「相手からは何も求めないけど、自分から何かしたいと思わない。」というライフスタイルを選択しており、他者信頼の感覚が薄いことを感じています。そういう僕が共同体感覚を身につけていくことは大変だと感じます。

 そうした自分が共同体感覚を感じるようになるためですが、自己受容→他者貢献→他者信頼という手順を踏むのが一番合っているように感じます。

dobbyの共同体感覚の身につけ方
  • 自己受容
     →自分ができることを見極め、自分の理想に近づくための
      行動を実践する。
  • 他者貢献
     →他者信頼は一旦は考えず、自分の理想のために行う行動を
      実践する。
      →結果として他者の貢献につながっていくことを感じる。
  • 他者信頼
     →他者貢献を実感することで無条件に信頼してもいいという
      実感を得る。

 結局は「自分のやりたいことをやってみる」ことが出発点と思います。
 まずは自己受容をして、自分は能力があることを認識し、その能力を他者貢献のために使うことをしていきたいと感じました。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA