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習慣化の手法:if-thenプランニング

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 この記事では、発達障害の診断を受けたdobbyが「習慣化」の技術について書いていきます。ここでは、さまざまな論文により効果があると確認されている「if-thenプランニング」を取り上げます。

 習慣化やそのメリットにつきましては、下記記事も併せて見ていただければと思います。

発達障害と「良い生活習慣」の習慣化  この記事では、発達障害の診断を受けたdobbyが良い生活習慣の「習慣化」に取り組むことについて、自分の考えを書いていく記事になります...

if-then プランニングとは

 if-then プランニングとは、コロンビアビジネススクールのモチベーション・サイエンス・センター副所長を務める社会心理学者のヘイディ・グランド教授がで提唱している、目標達成のための行動を促す手法です。

ある調査結果によると、if-then プランニングは、達成が難しい目標において、成功の可能性を3倍高めると結論付けられています。

 その内容ですが、予め「XしたらYする」と行動を決めておくだけという、非常にシンプルなものです。「【if】Xしたら【then】Yする」という形で計画するので、if-then プランニングと呼ばれています。みなさんも毎日無意識のうちに「XしたらYする」という行動をしていると思います。

「XしたらYする」行動例
  • 朝起きたら、ベッドから出て、テレビをつける。
  • 職場についたら、作業着に着替え、デスクに座る。
  • デスクに座ったら、PCを立ち上げてメールをチェックする。
  • 家で食事をしたら、皿を洗う。

if-then プランニングが有効な理由

 では、なぜ、if-then プランニングは有効なのでしょうか?

 それは、脳は「XならばYを実行する」という命令に反応するようにできているからです。

 これは人間でなくても一緒です。例えば、「草食動物がライオンを見たら逃げる。」などが典型例です。生物が種を守るために行うための本能と言っても良いかもしれません。

 逆に、なんとなく「Yをやりたいなぁ。」と思っていても、その切っ掛けとなるXがないと、人間はあれこれと考え出します。変化を嫌うのも脳の特性の一つで、考え込んでしまうことで、Yという行動が実行に移せないことも多々あります。 

 if-then プランニングはこの脳の仕組みを利用しています。
「【if】Xしたら【then】Yする」という形で行動を計画することで、脳内でXというきっかけがYという行動に直接結びつきます。そのため、たとえ他のことで頭がいっぱいだったとしても、Xという実行のタイミングが訪れたときに、自然とYという行動に意識が向くようになり、実際の行動を起こしやすくすることが出来ます。

 つまり、if-then プランニングのメリットは、「『実行に移すきっかけに反応し、あれこれ考えさせずに行動する』ように仕向ける」ことができることになります。

if-thenプランニングと習慣化

 「【if】Xしたら【then】Yする」プランニングを習慣化に取り入れるためには、いくつかのコツがあります。

小さなifから大きなthenにつなげる

 習慣化において、「【if】Xしたら【then】Yする」プランニングを設定する場合、Xはスケジュールやすでに習慣化していることなど、行動エネルギーがかからないものにするのが効果的です。

例えば、毎日「日記を書く」ことを習慣化する場合、

  • 毎日夜9時になったら日記を書く。
  • 毎日夜ご飯を食べたら日記を書く。

というような行動の結びつけが習慣化に効果的になります。

何かをやめる「then」ではなく、別の行動をする「then」

 また、「○○をやめる」ことを習慣化する場合については、「○○したくなったら、代わりに△△する」という行動を設定すると習慣化しやすいです。これはif-then プランニングが「何らかの行動する」ことを前提としているためです。

 例えば、「夜9時以降、お腹が空いても食べ物を食べない」ということを習慣化したい場合は、「夜9時以降、お腹が空いたらスープを飲む」に置き換えたほうが「お腹が空いても我慢する」というより、遥かに習慣化しやすいということです。

 if-then プランニングは「行動をやめる」という習慣化の定着には向きませんので、「行動を置き換える。」と発想を変えて、別の行動に置き換えましょう。

発達障害とif-thenプランニング

3つの「習慣化」の壁

 発達障害と「良い生活習慣」の習慣化の記事の中でも触れていますが、発達障害の特性のある人は「やりたいことががまんできない」「不注意」「衝動性」という、3つの「習慣化」の壁があります。

 if-thenプランニングについても、3つの習慣化の壁が立ちはだかります。
 「【if】Xしたら【then】Yする」という形で行動を計画して、【if】Xというタイミングが起きても、【then】Yの行動をしないことが多々あります。具体的に言うと、

  • やりたいことががまんできない
    →Yという行動を取らず、やりたいことを優先してしまう。
     (Xが習慣化された行動の場合、Xすらしないこともある。)
  • 不注意
    →「XしたらYする」行動計画を忘れてしまう。
  • 衝動性
    →Yではなく、別の行動Zを思いつきでやってしまう。

 ということがあげられます。

 なので、発達障害の特性のある人が、「【if】Xしたら【then】Yする」行動計画を実行する場合、「『行動Yを起こす』働きかけ」が、別途必要になります。

 例としては、
 「出かける準備をする」行動を、一覧にしてパソコンや壁など自分の目が届くところに表示する。
 があります。

if-thenプランニングの継続

 また、発達障害の傾向のある人は「【if】Xしたら【then】Yする」行動計画を立てても、「行動Yをしなかったことに対して、ひどく落ち込んで、習慣化する気力が失せる」傾向があります。行動Yをする本来の目的があっても、それを簡単に放棄してしまうのです。

 目的が達成できないと習慣化に取り組む意味がないので、「【if】Xしたら【then】Yする」ことを継続をするために、以下を考えてみると良いと思います。

継続の取組
  1. 多少出来なくても、その自分を許して受け入れる。
  2. 行動Yをよりハードルが低いものに見直す。
  3. 行動Yの前に、ハードルが低い行動Zを挟む。
    →「【if】XしたらZ【then】をして、【if】Zしたら

     【then】Yをする」

 例として「毎日夜9時に日記を書く。」ことをあげます。習慣化していないとよく忘れます。(僕がそうでした。)このことに対して、①~③の対処として、次のことをやりました。

  1. 多少出来なかったことを許す。
    →忘れても、明日朝書けばいいと割り切る。
  2. 行動するハードルを下げる。
    →1日を振り返るものでなくても、今の気分と体調を1行メモ。
  3. ハードルの低い行動を挟む
    →夜9時になったら、とりあえずノートを開く。
     気分がのったら、日記を書く。

 習慣化するまで行動を継続できるよう、自分の行動レベルを下げていきましょう。
そして、少しずつ行動レベルをあげていきましょう。

if-thenプランニングのこだわり

 発達障害の特性のある人は、一旦if-thenプランニングで行動が習慣化されてくると、ASDの特性である「こだわり」が働き、頑なに習慣を守ろうとします。良い習慣が強固に続けられることは良いことです。しかし、良い習慣を続ける「こだわり」が強すぎて困りごとになることもあります。 

困りごとにつながる良い習慣の「こだわり」
  • 「【if】Xしても、【阻害要因】Zにより【then】Yできない」ことで、イライラが引き起こされるなど、精神的に不安定になる。
  • 場合によっては「【if】Xしたら、【阻害要因】Zがあっても、無理やり【then】Yをする」ことがある。結果としてデメリットを被る。

 良い習慣を続ける「こだわり」を困りごとにしないために、「【阻害要因】Zがある場合は、【if】Xしたら、代わりに【then】Y’をする」ことも行動予定に組み入れておきましょう。

 例として、「日曜朝に起きたら、外を30分ランニングする。」という習慣をあげます。
 日曜日起きてみたら、雨が降ってランニングにはしんどい状況になりました。その場合、

  • (悪い例1)何もしない
    外でランニングできないことにイライラする。
  • (悪い例2)行動を変えない
    無理やり外でランニングしてずぶ濡れになって風邪を引く。
  • (いい例1)行動できるタイミングを変える
    天気予報を見て、雨が止みそうな時間までランニングを待つ。
  • (いい例2)行動を変える
    外でランニングする代わりに家で筋トレを30分する。

 というように、行動できるタイミングを変える、行動そのものを変える準備を予め考えておくと、急な予定変更でも対応できるようになります。

まとめ ~行動のハードルを下げろ!~

 以上「if-then プランニング」を紹介しました。
 if-then プランニングは、習慣化するための行動のハードルを下げる、すなわち「やる気スイッチ」を押しやすくする手段であり、すごく理にかなった方法と言えます。

 発達障害の特性のある人は苦手なことは信じられないくらい出来ません。定型発達の人からは信じられないことでも、ライフハックを考えておかないと対応出来ないことが多々あります。

 借金玉さんの『発達障害サバイバルガイド』、 『発達障害の僕が「食える人」になったすごい仕事術』の中に、「朝起きるライフハック」が紹介されています。

「目覚まし時計がなったら、起きる」行動を
→「目覚まし時計がなったら、布団から少し離れたところにあるペットボトルのお茶
  を飲む。」というライフハックに変え、さらにペットボトルで部屋が汚くなることから
→「目覚まし時計がなったら、布団から少し離れたところにある目薬をさす。」
  に変えていっています。

 朝起きるだけでも、これだけのことを考えないと出来ない人もいるのです。

 そして、その行動のハードルを最大限に下げるために、「if-thenプランニングの考えを取り入れている」こと、「何回も行動Yの方法を見直し、ベストな方法にたどりついた」ことがこのエピソードからわかります。

 なので、発達障害の人が行動を習慣化するテクニックとして、ぜひ取り入れていただきたい考え方だと思います。地道に、手を変え品を変えながらやっていきましょう。

僕も出来ていない生活習慣が多くあります。すこしでも役に立つことはまた紹介させていただきます。