この記事では、dobbyが実際に受けた発達障害の診断について書きます。
前編(発達障害の診断を受けるまでの経緯)については、以下参照ください。
なお、この記事はあくまで、dobbyの経験・見解に基づいています。すべての事例に当てはまるわけではないということをご了承頂いた上で、一つの例として参考にしていただければと思います。
(注)僕は2018年と2021年の2度、違う病院で診断を受けました。便宜上、2018年の診断を受けた病院・医師についてはを「前の」をつけ、2021年の診断を受けた病院・医師については「今の」をつけて表記します。)
2018年の診断
2018年より、前の病院に通い、メンタルヘルスの不調の件や発達障害の特性の悩みについて相談しました。
当初はメンタルヘルスの不調の治療が中心であり、不安感を和らげる薬の処方を受けました。
ただ、発達障害の特性に伴う仕事上のミス・トラブルなどの困りごとに対する悩みも強かったので、発達障害についての診断を希望しました。診断の際に前の病院で実施したことは以下のとおりです。
- 生育歴の調査
→親にお願いして、準備されていた調査票に、子供の頃の状況を記入してもらいました。 - 生活歴の調査
→大人になってから発生した困り事やその対応状況について、準備されていた調査票に記入しました。 - 知能検査
→成人向け知能検査であるWAIS-Ⅲを受けました。
(WAISについては、WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ【LITALICO発達ナビ】 (h-navi.jp))を見ていただくとわかりやすいです。
以上の調査、検査は時間がかかるので、カウンセラーの方に対応していただき、その結果を主治医の方が確認するということで進められました。
この検査結果に基づいた、前の主治医の見解は「発達障害であるとまでは言えない」ということでした。但し、「発達障害の特性に近い傾向はあるのではないか?」という見解も頂いています。
特に、知能検査から見た見解が自分にとっては興味深いので載せておきます。
- 全検査IQ、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の5つの指標について、いずれも平均IQの100を超えていたので、 脳の機能障害ではないであろうとのこと。
- 知覚推理や処理速度がほかの指標より少し低いということで、脳の機能にばらつきがあるということ。
- 脳の機能のばらつきがあると、悪い機能を良い機能がカバーすることで日常の生活に対応する。一見対応できているように見えても、悪い機能の弊害が出てくること。
僕の場合は、目で見た情報を書き写したりする時によく間違う、処理速度を無理にあげようとしてミスが多くなるなどの特徴が当てはまるのかなぁと思いました。
「発達障害であるとまでは言えない」ということだったものの、診断を受けた後に、ADHDの治療薬が処方されることとなりました。 (結局、効果を感じられなかったので今は飲んでいません。)
2021年の診断
上記の診断の後、2019年に再び転勤となります。休職前の職場に赴任することになりました。
転勤後すぐに今の病院を受診し、仕事上のミス・トラブルに対する困り事があることを説明するとともに、前の病院からの紹介状でもって、発達障害の特性についても説明しました。
当初は前の病院と同様に不安に対応するための薬物療法を行っていました。
しかしながら、2021年3月頃より、仕事のミスやトラブルを連発していることや、薬物の副作用(日中のひどい眠気)が職場内で問題となりました。上司からのヒアリングを受けて、今の病院にかかっていること、発達障害の特性があることを話をすると、
- 今の病院の発達障害に対する見解の確認及び診断書の提示
- 常勤の産業医や職場の顧問の精神科医の見解の確認
という指示を受け、今の病院でも発達障害の診断を仰ぐこととなりました。
診断のため、今の病院で行ったことは以下のとおりです。
- 生育歴の調査
→改めてのヒアリングはなかったです。
(前の病院の調査票は見ていたかもしれません。) - 生活歴の調査
→今までの診察の中で困りごとを話をしていますので、
それが調査の代わりとなっています。 - 知能検査
→前の病院の紹介状の中にWAIS-Ⅲのテスト結果があるので、
それを確認したようです。
2018年の前の病院の調査、検査内容をベースとして、最近の問診結果も考慮した判断となっています。
その結果は「発達障害の傾向が見られる」という診断でした。診断書も交付されました。
そして、常勤の産業医、顧問の精神科医からは、生活歴(主に困りごとを説明しました。) を中心にヒアリングがあり、現在の病院での診断とほぼ同じ見解であるということでした。
産業医からは今の病院はいい病院であり、基本的には今の病院の診断、治療方針に従ったほうがいいと言われています。
まとめ ~発達障害のグレーゾーンについて~
以上、dobbyの2018年、2021年の発達障害の診断についてまとめました。僕の経験談をもとにすると、
- 発達障害は生育歴、生活歴、知能検査の結果を総合して診断される。
- dobbyの場合、知能検査の結果では「発達障害であるとは言えない」。
- 生活歴の調査なども踏まえ、現在は「発達障害の傾向がある」という診断をされている。
ということになります。
ここでは、上記の僕の経験も踏まえ、発達障害のグレーゾーンについての考えを書きます。
まず、発達障害のグレーゾーンですが、発達障害グレーゾーンとは?特徴や正確な診断、治療の可否について | ブレインクリニック (tokyo-brain.clinic)の説明によると、
- 発達障害の診断基準をいくつか満たしているものの、全て満たしているわけではないため、発達障害の診断を受けていない人々を指す。
- 「発達障害グレーゾーン」は正式な病名ではなく、発達障害の傾向にある人々すべてを指す。
- 「発達障害グレーゾーン」の症状の程度はかなり幅広い。
ということです。
ここからは僕が考えていることです。
基本的に発達障害を含め、精神疾患の判断基準は同じものを使っているのですが、個々の医師の主観に左右される部分があるようです。
さらに言えば、発達障害の定義の中に「日常生活に困難をきたしている状態」とあり、「自分は日常生活に困難をきたすほど困っているのか?」という疑問もあります。
だから、発達障害の診断というのは非常に微妙なものと思います。
僕の診断も「発達障害」ではなく、「発達障害の傾向がある」という診断なので、実際にはグレーゾーン以下なのかもしれません。
とはいえ、職場での仕事など、社会生活を送る上で困りごとが多いのも事実です。
特に極端に苦手なことがあると、「普通にやっていれば出来る」という外部からの要求水準を満たさないことが多く、「普通にやっていれば出来ることが僕には出来ない。」ということが困りごとになってくるのです。
「発達障害の正確な診断」がおりなくても、困りごとがあるという事実は変わらないと思います。
実際、前の病院で正式な診断がおりなくても、ADHDの薬は処方されました。困りごとの対処の一環として処方されたのだと改めて理解しました。
発達障害である、なしに関わらず、困りごとへの対応としては、
- 他人や医療機関に相談する。
- 自分の困りごとを整理する。
- 周囲の方の助けを仰ぐ。
という、通常の困りごとの対処をコツコツとやっていくしかないと思います。
また、周囲の皆様についても、「発達障害という診断がない」ということだけで、「困りごとはない。」とか「普通にやっていれば出来ることが出来ないのは、本人の努力不足」と思うのではなく、どんなことで困っているのかを責めずに聞いていただければと思います。
その対応だけでも、発達障害の特性を抱える方にとっては心強いです。
お願い ~自己判断せず、専門機関の相談を~
最後になりますが、お願いです。
dobbyの記事や他のサイトの記事・書籍を見たりして発達障害のことを知り、当てはまることが多くあると思っても、それだけで「自分は発達障害である。」と自己判断しないでください。
今までの記事の通り、発達障害であるかどうかは、医師の間でも判断が分かれるケースが多々あります。ましてや、少ない情報しか持たない素人が判断できるはずもありません。
もし、自分に発達障害の傾向が認められるとおもったら、専門の医療機関の診察を受け、診断いただくことを強くおすすめします。
「都道府県 発達障害 診断」という検索をすれば、対応できる病院などの情報を得ることが出来ます。
または発達障害情報・支援センター (rehab.go.jp)で相談いただくことも出来るかと思います。