メンタルヘルス

書籍紹介⑤ ~『ストレスフリー超大全』

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ

この記事は、書籍紹介となります。
ここで紹介するのは、樺沢紫苑(かばさわしおん)さんの『ストレスフリー超大全』になります。

 この本を買ったのは2021年11月です。
 休職になり、メンタルヘルスの不調や睡眠障害に悩み、一度いろんなことを勉強してみようと思ったのが契機です。樺沢紫苑さんのことをyoutubeチャンネル「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」で知り、本も買ってみた次第です。

著者紹介

樺沢紫苑さんのプロフィールから一部抜粋します。

  • 精神科医、作家、映画評論家
  • 1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。
  • 2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。
    帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。
  • 「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(30万人)、メールマガジンなど累計60万フォロワーに情報発信をしている。
  • 『学びを結果に変えるアウトプット大全』をはじめとして著書37冊を刊行、累計発行部数は180万部にも及ぶ。

 心理学、精神医学の著書はもちろん、ビジネス書、映画評論など多くのジャンルで活躍されております。

 先に紹介したyoutubeチャンネルもよく見ていますが、知識や経験に裏付けされた主張は説得力があります。しかも理路整然とお話されているので、より説得力が増しています。

 そして、「質問をする前にいろいろと自分で調べてほしい。という視聴者に対するスタンスにも好感を持ちました。ただ聞くだけではなく、自分で調べることで学びが深まるということは、僕もよく経験することです。

 さらに、youtubeチャンネルは旅先からの動画が多いです。人生を楽しんでいる姿勢もより人を引きつける要因になっていると思います。

章立てと内容

この本の章立てと内容は以下のとおりです。

  • 序章  すべてのベースとなる「解決法」
        (ストレスフリーの基本)

    →悪いストレスから開放されるための考え方・行動様式として、     「不安を行動で取り除く」「自力で解決できるようになる」
    「他人の力を上手に借りる」「生活を整えてちゃんと生きる」
    「最高のモーニングルーティン「朝散歩」をする」

    を紹介。
  • 第1章 他人ではなく「自分」を変える (人間関係)  
    →人間関係全般(他人と自分の比較、人の信頼、嫌いな人との
     付き合い方など)における悩みの対処法を紹介。
  • 第2章 「仲間」と「家族」が活力となる (プライベート)    →プライベートの友人・家族関係について生じるおける悩みの
     対処を紹介。
  • 第3章 「天職」を求め「やらされ仕事」から抜け出す(仕事)    →職場の人間関係への対処、仕事のモチベーションの上げ方、
     転職・副業・お金の不安への言及
  • 第4章 「疲れない体」を手に入れる (健康) 
    →メンタルにいい影響を与える睡眠・運動・食事の紹介
  • 第5章 心を整え「新しい自分」にアップデートする(メンタル)    →自己肯定感の高め方、怒りや鬱などの感情への対処法の
     紹介、メンタル疾患・発達障害・HSPについての解説。
  • 終章
    精神科医がたどり着いた「とっておきの考え方」(生き方)    →著者が考える人生観や「幸せになる」ための考え方を紹介。
  • おわりに これからどう生きるか
    →これまでの内容に基づき、生き方の7つのエッセンスを紹介。

読書感想

学びにつながる

 この本を書くにあたって、心理学・医学・哲学・宗教など100冊以上の本を読み直したそうです。そこで再確認した事柄に加え、詳細なデータ、著者本人の経験も踏まえた内容は、多くの学びにつながります。

 個人的には、脳科学にも言及した行動アプローチに非常に興味を持ちました。精神的、心理的な話だけでは腑に落ちないことでも、脳科学からの検証があることで、納得することが出来ました。

 さらに、特定の問題についてもっと深く知りたい場合は、役に立つ本や映画の紹介もしています。この対応も至れり尽くせりです。

説得力のある話の展開

 著者は『アウトプット大全』などのビジネス書も著しており、話の展開の仕方は非常にうまいと感じました。 

 この本では、一つのテーマについて、まず科学や哲学などいろいろな側面から検証されたファクト(事実)を提示しています。そして、ファクトの提示だけではなく、実際に効果のある対処法を、読んでいる人が実践しやすいToDoの形で提供しています。

 例えば、「不安を行動で取り除く」というテーマについて、まず、

  • 不安を脳科学的に言うとノルアドレナリンの分泌である。
  • ノルアドレナリンが分泌されると、脳が研ぎ澄まされ、一瞬で
    判断できるようになる。
  • ノルアドレナリンは行動しないと減らない
    (=不安は行動しないと減らない)
  • 不安を減らすための行動としては「話す」「相談する」「書く」などのアウトプットがある。

というファクトを提示しています。

 そして、このファクトに出てきた「不安をへらすための行動」について

  • 自分ができると思うところまで行動のハードルを下げる。
  • 話す、書く、体を動かすという3つの行動をする。

 という、具体的なToDoを提言しています。

 この本が提示している問題は上記のようにすべて、ファクトの提示→具体的なToDoの提言になっているので、読みやすいうえにスッと頭に入ってきます。

気になる点

 実は、この本を買う前に一度書店で手にとったことがあります。しかし、その時は自己啓発本の印象がつよく、買うのを見送りました。

僕は普通の自己啓発本を読むと、ポジティブ思考に気後れを感じてしまいます。読んでも「やっぱり自分にはムリ」と思い込んで自分を責めてしまい、読むのが辛くなるのです。

 読んでみると、前述の通り多くの学びになる事柄がスッと頭に入ってくるのですが、それでも「楽しい」「自分は成功している」という著者の感情が行間に感じられ、読むのが辛くなることもありました。

 これは、この本が「人間は自己成長を求める」ことが前提に書かれており、自己成長を避けようとする自分の回避性と相反するからです。

僕が、以前の記事で「成長したくない心理」について書きましたが、この本を読んで違和感を感じたのがきっかけです。    

 人生をネガティブにしか捉えられない人が読むには少しつらいかもしれません。

 あと、この本にはパーソナリティ障害に対する記述がないことも気になりました。
 近年増えているメンタルヘルスの不調ですので、パーソナリティ障害の紹介や治療のヒントが無いのはちょっと疑問に思いました。

まとめ

 以上で『ストレスフリー超大全』の読書感想です。
 読んでて辛くなる部分というのはあったのですが、それを遥かに上回る学びや気付きが得られます。

 もし、僕と同じように読んでて辛くなる方は、おそらく脳が疲れていると思います。ゆっくり休んで、落ち着いてから読んでいただければ頭にスッとToDoが入ってくるのではないでしょうか?

 メンタルヘルス不調の当事者はもちろん、その周囲にいる人が、メンタルヘルスの不調を知る上で最初に読んでいただきたい本だと思いました。  

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA