この記事では、発達障害の診断を受け、メンタルヘルスの不調で休職中のdobbyが、「怒り」について考えた記事になります。この記事を読んでいただくにあたっては、以下も記事も参照いただければと思います。
今回は「怒り」の感情の取り扱い方について事例をあげます。
2022年4月24日のロッテーオリックス戦で、ロッテの佐々木朗希投手に対し、白井一行球審が詰め寄るという騒動がありました。白井一行球審のボール、ストライクの判定に対し、佐々木朗希投手が不服の意を示したことによる行動と言われています。
この騒動については20歳の佐々木朗希に詰め寄る…白井球審がトレンド入り「初めて見た」「短気かよっ」【ロッテ】 (msn.com)の記事を参照ください。
特に佐々木朗希投手が前々回の登板で完全試合を達成し、前回登板でも8回をパーフェクトに抑える前代未聞の投球を披露したことで、今回の騒動が大きく注目されるようになりました。
僕は以下の理由で、このことを取り上げたいと思いました。
- 自分の趣味である競技クイズで、審判・選手両方の立場になること
- プロ野球ファンであること
- アンガーマネジメントの勉強中であること
では、書き進めていきます。
佐々木朗希投手に思うこと
まず投球内容です。5回で6四死球でした。そもそも1イニングに1四死球は、コントロールがよくないと言われるピッチャーでも多いです。球審の判定が厳しめであるということが影響していたかも知れません。投手として、ストレスが溜まっていたことは推察されます。そのストレスが抑えられなくて、不満の感情が表に出たと思います。
そして、問題の場面です。動画で見る限り、確かに「不満をあらわにしている」という印象をうけました。でも、マウンドを降りてすぐに2塁の方向を向いているので、不満をこれ以上見せない行動を取っているようにも思えました。また、指差ししたり、文句を口にするなど、審判を侮辱する態度は動画からは見うけられませんでした。
ただ、球審も人間です。受け取り方はそれぞれです。少しでも不満の感情が出てしまうと心象は良くないでしょうし、その結果として自分の判定に不利に働くこともありえます。自分を守るという意味で、審判に向けては不満をあらわにするのは損と思いました。
不満の感情を判定に影響させるのは本来してはいけないこととは思いますが、感情のコントロールはそれだけ難しいです。
白井一行球審に思うこと
まず、当日の判定です。判定自体は投手に対して厳しいと思いました。しかし、オリックス側にも判定か辛く、どちらのチームに肩入れしたということはないと思います。審判のコンディションなど、いろいろな影響が判定に影響すると思うので、判定自体は「今日は辛めだった」という程度の話だと思います。
ただ、令和の怪物“威圧”騒動で物議 佐々木朗希に詰め寄った白井球審の評判 「ミスする割にそれを認めず選手のウケは最悪」 ダルビッシュは球審擁護も (msn.com)によると、判定において物議を醸しているようです。
また、審判は野球の試合において、判定の最終権限者です。その権限を持っている審判に対して、不満を繰り返しあらわにされると気分は良くないと思います。そのことが判定にも影響してしまうのは上記のとおりです。
でも、問題の場面で「怒りに任せて投手に詰め寄る」という行動は、適切でないと思いました。
- 怒りをあらわにして詰め寄る前に対処法がある
→例:捕手に対して「今の行為は違反。次やったら退場もありう
る」など、冷静に警告を伝える。 - 審判の役割(判定を下す、試合を円滑に進める)を見失った行動
→審判の役割を果たすために必要なのは冷静な判断。
「詰め寄る行動」によって冷静さを失っている印象を与える
そして、僕が一番問題だと思うのは、佐々木朗希に詰め寄った白井球審 試合後は「答えることは何もない!」(東スポWeb) – Yahoo!ニュースで見られる、試合後の対応です。
個人的な考えですが、審判は試合中に行った判定や行動について説明する義務があると思うのです。それは、審判自身の判定に対する責任であり、権限の確保するうえでも必要な行為です。
自身のストライク・ボールの判定について、自分でどう思うか、投手のどういう態度に問題があったのか、さらには、詰め寄るという行為が、野球規則に対して正当な行為であったのか、判断の根拠を示す必要があると思います。
「投手に詰め寄る」という行動自体は何かを判定したわけではなく、表面上は記録に残りません。でも、この行動は選手のプレー、審判の判定に心理的影響を与えます。その意味でも「自身の行動を言語化して説明できるようにすること。」は必須だと思うのです。
(注)上記につきましては、記事投稿と同じタイミングで、NPBより検証結果が公表されました。佐々木朗希へ球審詰め寄り物議「今回の場合は別の方法があった」NPBが検証 処分行わぬ考え (msn.com) この取組自体は評価出来るものと思います。あとは審判への指導ができればいいなと思います。
専門家の論評
この記事を書く上で、一番参考にしたのはダルビッシュさんの論評です。
ダルビッシュ 白井球審擁護の真意説明「近年、違和感を感じてしまう」 (msn.com)
白井球審「詰め寄り炎上騒動」でダルビッシュ持論 「審判に感情いらない」指摘に「何故でしょう?」: J-CAST ニュース
確かに、審判側の立場は、この論評を読むまでは頭になかったです。
よくよく考えれば概ね誤審がなく判定できる事自体すごいことなんだということを改めて認識しました。そして、「褒められはしないけど、批判される立場」は想像しただけでしんどいです。その立場を続けられているだけですごいことだと感じました。
だからこそ、投手に詰め寄るという行動に違和感を感じるのです。もし、ダルビッシュさんの論評にあることを球審が感じていて、判定に自信があると思えば、あのようなマウントを取る行動は必要ないです。侮辱行為に対しても冷静に「退場」の処分をすれば十分です。
あとは、高木豊さんのyoutubeです。
佐々木朗希への詰め寄り「『この若造が』っていう態度に見えた」 高木豊氏、白井球審に苦言「絶対良くない」: J-CAST ニュース【全文表示】
どちらかが正しいということはなく、お互いの問題点を的確に指摘している印象をうけました。
この他にもいろいろな野球解説者・スポーツ紙記者の方の見解を確認した上で、自分なりの考え方を書いています。いろいろな考え方に接することで勉強になりましたし、面白かったです。
アンガーマネジメントの視点
アンガーマネジメントの専門家である戸田久実さんの見解です。野球の専門家ではないので、視点は違いますが、それ故参考になる見解だと思います。
ロッテ・佐々木朗と白井球審にアンガーマネジメントの専門家が提言「6秒間をやり過ごせるように」(東スポWeb) – Yahoo!ニュース
ここで言われていることは、アンガーマネジメントのマニュアルに書かれていることです。特に「6秒間をやりすごす」のは素人の自分でも記事に書けるくらい、一般的な考え方です。
怒りの感情は時に判断を誤らせます。審判にも、選手にも冷静さを取り戻すアンガーマネジメントの技術は必要なものと思います。もし、審判部でこうした研修をやっていないようでしたら、是非取り入れたほうがいいと感じました。
まとめ ~dobbyはこう考える~
以上で、最近話題になったことについて書いていきました。まとめると、
- 佐々木朗希投手の不服な態度は、白井一行審判のジャッジや行動に影響した可能性がある。
- 白井一行球審の怒りに任せて詰め寄る行動・及びそのことに対するコメントをしない態度に不適切さを感じた。
- 怒りをコントロールするためのアンガーマネジメントは審判、選手両方に必要。
ということになります。
そして、僕は冒頭の通り趣味のクイズの世界で判定に携わることが多いので、自分がもし今回のケースに遭遇した場合、どうするかも考えてみました。
- 文句は言わず「なるほど、そこは取らないんだな」と言ってみる
- 打たれたら「今日はそういう不運な日」と思う。
球審の判定に付き合わず、自分ができることをして、それでも打たれたらしょうがないと思います。そのことで、メンタルヘルス的に自分を守ることが出来るように感じます。
- 事前に行動基準を設ける(2回不快を感じたら捕手に警告など)
- 試合中の行動については、自分が感じたことを言語化出来るようにする。(聞かれたら答えられる準備をしておく。)
- アンガーマネジメントだったり、ストレス・コーピングなどの対処法を身に着け、冷静な判断を維持する。
- 試合中は個々の選手に対する感情を断ち切る。
球審の立場で必要な資質は冷静な判断だと思います。これを維持して適切な判定を下すのは難しいのですが、出来るだけ心がけたいと思います。
最後に、この記事を書く上で、いろいろな気付きがあったので書いていきます。
- 審判の判定を冷静に下すために、アンガーマネジメントを始めとする感情の取り扱い方が非常に大事であること
- 世間の目は完全試合を達成した佐々木朗希投手に同情的であり、審判の立場にはあまり目が向けられていないこと
→この問題の本当の姿が見えにくくなっていること - 有識者の多くの見解に接することで、多様な考え方を身につけることが出来ること
これは、今回の話だけでなく、いろいろな問題に接する上で必要なことと思います。自分が好きな野球の話題が、このブログの趣旨に合致すると思い書いていきましたが、予想以上に自分にとって勉強になったと思います。